2009年8月1日(土)「しんぶん赤旗」
自民政権公約
希望示せず増税・改憲宣言
志位委員長会見 政権から退場を
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自民党は31日、麻生太郎首相が記者会見し、総選挙向けマニフェスト(政権公約)を発表しました。日本共産党の志位和夫委員長は同日、都内で記者団に、自民党のマニフェストについて、「一読したが四つの問題点を感じる」として、次のように述べました。
一、第一に、「安心な国民生活」を押し出しているが、国民の暮らしの安心を奪ったのは一体誰か。人間らしい雇用を壊し、社会保障を壊し、弱肉強食の寒々とした社会をつくった自らの政治への自覚もなければ、反省もない。そのことを抜きに「安心な国民生活」をいくら言ってもむなしいだけだ。
一、第二は、消費税増税の法案を2011年度までに通すということが明記されている。これは、税制「抜本改革」に向けた「中期プログラム」などでは、「景気好転」が条件とされていたが、今度のマニフェストでは、その条件すらなくなって、どういう状況になろうとも、景気回復の有無を問わず、2011年度までに増税法案を通すということだ。執行は景気の回復を見て、と書いているが、さらに一歩、消費税増税に踏み込んだ。日本共産党は消費税増税に絶対反対の論陣を張っていく。
一、第三は、憲法9条改定を宣言したことだ。マニフェストの末尾に「特に記載が無い限り4年」のうちに実現すると書いているが、憲法改定もとくに明記されていないので、4年間のうちにやるという宣言にほかならない。9条を4年間で変えるということを宣言したマニフェストだ。
そのうえで二つの問題がある。一つは、集団的自衛権の政府解釈の見直しをして、集団的自衛権を行使できるようにすること。もう一つは、自衛隊の海外派兵の恒久法をつくることだ。この二つをやって、9条改変を4年間でやろうということだ。海外で戦争する国づくりに大きく道を開くことを、4年間で実行しようというものであり、戦争国家づくりの危険な宣言だ。この道にも厳しく反対していく。
一、第四に、今これだけ核兵器廃絶が世界的な大問題になっているときに、一言も核兵器廃絶について述べていない。米国のオバマ大統領が「核兵器のない世界」を呼びかけているときに、被爆国の政権党である自民党が核兵器の問題について一言もマニフェストにないというのは、恥ずかしい限りだ。この間、自公政権は、核兵器の問題では、アメリカにもっぱら「拡大抑止」、核兵器の依存を求める態度をとってきたが、そういう態度だから、マニフェストには一言も書けない。これも政権党失格だと言わなければならない。
一、全体として、自公の政治がどこでゆきづまったかと言えば、「財界中心」の政治、「日米軍事同盟絶対」の政治がゆきづまったわけだ。そのゆきづまりから抜け出そうという姿勢はまったく見られない。国民から見れば、日本の21世紀への展望も希望も見えてこない。国民に展望や希望が示せなくなったら政権党としては終わりだ。政権から退場するしかないと強く言いたい。
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