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2009年7月31日(金)「しんぶん赤旗」

主張

米価暴落

政府の緊急買い入れ発動を


 おいしい新米が、まもなく食卓に届き始めます。新米の出荷が早くなっているとはいえ、日本の秋を代表する風物詩です。

 ところが、この米作りを危うくする重大な事態が起きています。九州や四国の超早場米地帯で出荷された米の価格が、昨年産より10〜20%も暴落し、農家は、労賃分だけでなく機械の償却費や肥料代などもまかなえない、深刻な事態がひろがっています。

作る人がいなくなる

 宮崎県の農協が農家にしめした新米の概算払い金は、前年比12%減の60キログラム当たり1万2400円でした。昨年の九州地方の平均生産費は同1万8000円で、この間に肥料代などが高くなっていますから、農家が大赤字になることは明らかです。米を作る人がいなくなってしまうと、悲痛な声が上がるのは当然です。

 日本共産党国会議員団は29日、石破茂農水相に対し、政府備蓄米の販売が米価下落の一つの要因であると指摘し、暴落を防ぐ緊急措置として政府米の販売をやめ、政府が「適正水準」とする100万トンを下回っている備蓄米10万トン余を買い入れて、需給改善に取り組むよう申し入れました。

 このことは、農民連(農民運動全国連合会)や農協の関係者も強くもとめています。不足する備蓄米の買い入れは政府が自らたてた計画の実行ですから、すぐにでも実行可能なはずです。米価暴落は、農家の努力の範囲を超えています。政府はただちに実施すべきです。

 WTO(世界貿易機関)農業協定の受け入れ以後、政府は米改革などの名目で、米の需給と価格安定に対する責任を放棄しました。輸入機会の提供にすぎないミニマムアクセス米の輸入が強行され、汚染米の流通と食用への横流し、大手量販店による買いたたきなどが米価を低下させてきました。政府も1990年から2006年までに農業生産額が4兆円も減った主な原因が生産者価格の低下にあることを認めています。米の場合は1兆4800億円減少したうち1兆2200億円(82・4%)もが価格下落によるとされます。

 米をはじめ、農産物価格の暴落を野放しにしてきた自公政治が、農業生産の衰退と自給率の低下、後継者不足、耕作放棄地の増大など農業危機を深刻なものにし、地域経済、集落の崩壊をひどくしたことは明らかです。この自公政治の転換なしに、農業・農村の再建も食料自給率の向上も不可能ではないでしょうか。

農業再生に不可欠

 深刻な事態をまえに、政府や自民党も、農家の所得維持が必要などといいますが、そのためには規模拡大によるコスト削減などを主張するだけです。民主党は、戸別所得補償を主張していますが、政府が価格安定にのりだすことには反対です。

 農産物価格保障の実現は、日本の農業と農家、農村の再生にとって待ったなしです。日本共産党は、昨年発表した「農業再生プラン」でも、総選挙の政策でも農産物の価格保障・所得補償をもっとも重要な柱とする農政転換の方向を示しています。

 当面、米価の暴落を防ぐ緊急対策の実行をせまるとともに、農業の再生、食料自給率の向上を総選挙の重要な争点に位置づけ、農政転換の力を前進させることが重要です。



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