2009年7月27日(月)「しんぶん赤旗」
主張
核兵器のない世界を
原水爆禁止09世界大会が目前
8月3日から9日まで、広島・長崎で開催される原水爆禁止2009年世界大会が目前に迫りました。核兵器問題をめぐる関心、議論が、世界でも日本でも広がる中での大会として注目されます。
広がる核廃絶への動き
オバマ米大統領の核政策演説以後、7月に入ってからも核軍縮、核廃絶への動きがさらに勢いづいています。世界の核兵器の95%を占める米国とロシアが戦略核兵器削減を合意し、ラクイラ・サミットでは主要国首脳会議として初めて、「核兵器のない世界」をめざすことを掲げました。長年にわたり核兵器廃絶のために奮闘してきた非同盟諸国首脳会議は、改めて実現への強い決意を表明しました。
このような情勢のもとで、ことしの原水爆禁止世界大会には25カ国から85人もの海外代表の参加が予定されています(24日現在)。
このうち政府関係者は国連、アラブ連盟と7カ国の代表の計11人にものぼります。国連代表は軍縮問題担当上級代表のセルジオ・ドゥアルテ氏で、7日の世界大会・長崎の開会総会で発言する予定です。各国の代表は、非同盟運動の現・前議長国、核兵器廃絶のための国家連合「新アジェンダ連合」のメンバー国、さらに核問題に積極的にとりくみ始めたNATO加盟国など多彩です。
反核運動の代表は、来年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議でのニューヨーク行動を準備するアメリカをはじめ世界の有力な団体や、また核実験被害者などが参加します。
世界大会は「核兵器のない世界」の実現を共通の目標にすえ、国連、政府、反核運動などの立場の違いをこえ、議論、交流を深める場となるでしょう。
核保有国をはじめすべての国の政府が核兵器の廃絶・全面禁止に合意し、具体的な一歩を踏み出すこと、そのためにも来年の再検討会議を成功させることなどが中心的な論点です。今後の課題や行動計画を明確にし、世界的な運動のいっそうの飛躍につながることが期待されます。
日本各地でもこの間、核兵器廃絶を求める署名や自治体意見書、原爆症認定問題などの運動が大きく広がっています。
他方、被爆国民の願いに逆行、抵抗する動きも強まっています。日本への核持ち込みの「密約」が関係者の証言でも明らかとなり、自民党の一部や民主党からも「密約」公表の声がでています。しかし、これを機に非核三原則を改悪し、核兵器持ち込みを公然と認めさせ、アメリカの「核の傘」維持・強化につなげようとする意図が公然と主張されるなど、軽視できません。“有事の際の「核の傘」の運用”についての日米協議の動きも伝えられています。
「核兵器のない世界の平和と安全」をめざすオバマ政権にとっても、被爆国としてのリーダーシップが問われる日本政府にとっても、求められるのは核抑止力、「核の傘」依存との決別です。
地域・職場・学園から
日本の進路が問われるなかで開催される原水爆禁止世界大会は、非核・平和の日本への決意と行動を誓い合う場ともなるでしょう。全国の地域・職場・学園から代表を派遣し、情勢にふさわしい規模と内容の世界大会として成功させることが求められます。
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