2009年7月25日(土)「しんぶん赤旗」
経済財政白書
雇用607万人「過剰」
大企業の削減姿勢を不問
企業の「過剰雇用」は600万人に拡大し、企業は雇用の大幅削減に重点を移す―。林芳正経済財政担当相が24日の閣議に提出した2009年度の年次経済財政報告(「経済財政白書」)は、雇用環境が一段と悪化する懸念があると分析しました。
白書によると、企業の生産水準から見た「過剰雇用」が1〜3月期に全産業で最大607万人、うち製造業で最大369万人に拡大したと推計。「生産の迅速な回復がない場合、(企業の対応は)労働時間削減から雇用者数の大幅削減へ重点が移る」としています。
格差問題をめぐり、非正規社員の比率が全労働者の3分の1にまで上昇したことなどを背景に「拡大傾向は続いている」と分析。労働所得の格差拡大は、雇用の非正規化がその主因だとしています。特に、02年から07年にかけて、製造業などで正社員を削減し、派遣社員を増加させる動きが目立ったと指摘しています。
白書の分析からも、大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせ、非正規社員を正社員にすることが緊急の課題であることが改めて分かります。
ところが、白書は「雇用保護規制が厳しいと、非正規労働への依存が高まり、平均失業期間が長期化する」「景気回復こそが最大の格差対策」などと結論付け。雇用を守る体力はあるのに、人減らし・リストラに走る大企業の身勝手な言い分にそった形で、規制強化に反対する姿勢を示しています。
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