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2009年7月24日(金)「しんぶん赤旗」

地デジ移行 あと2年

テレビ買い替え アンテナ整備 課題山積

それでもアナログ停波?


 テレビが地上デジタル放送へ完全移行する2011年7月24日まで、ちょうど2年。国民は地デジ対応テレビに買い替えるなどの対応が迫られるなか、政府は地デジテレビにも「エコポイント」制度を設けて普及にやっきです。しかし、国民が不況で苦しむ状況では準備は間に合いそうもありません。それでも、期限がきたらアナログ波を止めてしまうのでしょうか。(木薮健児、佐藤研二)


1億台普及はまだ道半ば

 東京都内の家電量販店。「地デジテレビの売り上げは昨年の1・5倍。エコポイントの効果です」。テレビ売り場担当者の声が弾みます。

 NHKが7月に発表した地デジ受信機(テレビや録画機、チューナーを含む)の普及状況によると、5月の増加数は122万台だったのに対し、エコポイントが本格的に始まった6月は157万台。累計では、5224万台になりました。

 しかし、11年7月までに「地デジ受信機1億台普及」という政府の目標からすれば、まだ半分程度。今後、毎月200万台のペースで普及しなければ達成は困難です。国内には1億2000万台といわれるアナログテレビが普及していますが、現在の地デジテレビの普及数は3272万台に過ぎません。

間に合わない共聴施設改修

 地デジテレビを視聴するには(1)家庭のアンテナがVHFならUHFへの交換(2)共聴アンテナを利用の場合は、その地デジ改修(3)ケーブルテレビ(光回線)への加入―のいずれかの対応が必要です。

 深刻なのは、(2)の共聴アンテナの地デジ対応の遅れです。山間部の難視聴解消を目的にした「辺地共聴施設」(2万施設、約136万世帯)は、今年の3月時点で地デジ対応が終了したのは半分以下。マンションやアパートなどの「集合住宅共聴施設」(200万施設、約1900万世帯)でも7割程度です。

 ビル陰など都市部の電波障害に対応した「受信障害対策共聴施設」(5万施設、約606万世帯)の改修済みは、わずか11・4%。「計画なし・不明」が74%にのぼっています。高層建造物が林立し障害を起こす「原因者」を特定するのが困難なこと、マンションが施設を管理している場合、改修方法や費用負担について合意をまとめるのが困難なためです。

 NPO法人全国マンション管理組合連合会の谷垣千秋事務局長は「地デジは国策なのに、改修の責任を私たちに押し付けたのが遅れの原因。アナログ停波までに対応を終えるのは、九十九パーセント無理です」と指摘します。

自公民などが停波計画強行

 庶民が負担に感じ、業界からも「期限に間に合わない」との声が上がるアナログ停波計画。決めたのは01年の国会です。「11年アナログ停波」を盛り込んだ電波法「改正」案に、自民、公明、民主、自由(当時)、社民の各党が賛成。衆参各2日間議論しただけの強行劇でした。

 日本共産党は、アナログ放送終了時期の決め方について「地デジ電波のカバー率や受信機の普及率の達成条件によって決めるべきだ」とした修正案を出して反対しました。その後も、党国会議員団は弱者対策や共聴施設への助成などを要求し、実現してきました。


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