2009年7月24日(金)「しんぶん赤旗」
女性差別の現状指摘
日本の団体と国連委員が会合
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【ニューヨーク=小林俊哉】国連本部で開催中の女性差別撤廃委員会で日本政府の取り組みが審査されるのを前に、日本から傍聴にかけつけている女性団体メンバーが22日、同委員と会合を開き、日本での女性差別の現状をアピールしました。
主催したのは、42の女性団体でつくる「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク」(JNNC)。84人が傍聴のためニューヨークを訪問し、ロビー活動を行っています。この日の会合には13人の委員が参加。各団体の主張に熱心に耳を傾けました。
この中で、日本婦人団体連合会(婦団連)を代表して、新日本婦人の会(新婦人)の平野恵美子国際部長は、女性に対する差別的法律の一つとして、所得税法56条を取り上げました。同氏は、中小業で働く家族労働者の8割が女性なのに、その労働の対価が税法上、事業主の所得とされ、所得を認められない多くの女性家族労働者が、銀行ローンを受けられないなど、不利益や差別を受けている実態を指摘。56条の廃止を主張しました。
平野氏は、日本政府の社会保障切り捨ての政策と、折からの経済危機で、とりわけ経済的に弱い立場の女性が打撃を受けている問題も取り上げました。多くの女性が低年金、無年金に苦しんでいることから、最低保障年金制度の確立と年金の男女格差の是正の必要性を強調しました。
また、75歳以上を差別する医療制度改悪は、高齢女性を苦しめていると指摘。現役世代も、長時間労働のもとで育児休業の取得がままならない実態や、母子世帯が社会保障の切り捨てにあえいでいる現状を指摘し、「委員会は日本政府に対し、差別撤廃のために、働くルールの確立、社会保障の拡充を強く勧告してほしい」と促しました。
参加した委員からは、80人を超える代表が傍聴につめかけたことに感謝の言葉が相次ぎました。また、女性に対する税法上の差別の仕組みをもっと説明してほしいとの要望や、後期高齢者医療制度が高齢女性に与える悪影響について説明してほしいといった声もあがり、関心の高さをうかがわせました。