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2009年7月23日(木)「しんぶん赤旗」

主張

麻生首相記者会見

「安心」を奪った反省がない


 麻生太郎首相が衆院解散に当たって記者会見し、「景気回復」「安心社会の実現」、それが「できなければ責任を取る」という「三つの約束」を表明しました。

 日本がアメリカやヨーロッパよりも激しい景気悪化に陥っているのはなぜなのか。雇用を破壊し、社会保障を改悪し、庶民増税を強引に進めてきたのは誰なのか。

 首相は総選挙を「安心社会実現選挙」にすると言いました。しかし、国民の「安心」と「希望」を奪ってきた自公政治そのものには、まったく反省がありません。

自公政治に元凶がある

 麻生首相は「アメリカ発の世界同時不況から、皆さんの暮らしを守るのが政治の最優先の課題」だとのべています。

 IMF(国際通貨基金)の世界経済のまとめによると、2008年から早くもマイナス成長に陥った国は、主要国では日本とイタリアだけです。09年も、アメリカのマイナス2・6%に対して日本はマイナス6%と、はるかに深い落ち込みが見込まれています。

 大企業の「派遣切り」「期間工切り」によって多くの若者たちが職も住まいも奪われ、首都の真ん中に「派遣村」ができるような国は欧米には見られません。

 アメリカからの不況の波が日本国内で数倍の高波に増幅され、暮らしを直撃しています。こんな異常事態をもたらした元凶こそ、内需を犠牲にして外需頼みを強めてきた自公の「構造改革」路線にほかなりません。

 自公は、「使い捨て」雇用を増やしたい財界の言いなりに、派遣労働を自由化し、大企業に減税する一方で庶民に増税し、社会保障の切り捨てを強行してきました。もともと弱かった雇用・暮らしを守るルールと制度を破壊し、家計を中心とする内需の“基礎体力”を吸い取り、極めて脆弱(ぜいじゃく)な経済体質をつくってきました。

 自公政治の責任は重大です。その反省を抜きに、旧態依然とした大企業への大盤振る舞いやバラマキを繰り返しても、経済を立て直すことはできません。

 麻生首相は「確かな景気回復を実現するまでは、総理・総裁の任務を投げ出すわけにはいかない」と言っています。しかし、財界言いなりの自公政治自体が、景気回復の最大の障害です。

 「安心社会」について首相は、「雇用」「老後」「子育て」に「不安のない社会」を実現するとのべ、その財源は「消費税率引き上げ」だと言っています。

 自公政治そのものが「雇用」「老後」「子育て」の三つの不安すべての元凶です。暮らしの立て直しが最大の課題なのに、暮らしを痛めつける消費税を増税するのは本末転倒の極みです。財源なら5兆円の軍事費にメスを入れ、大企業・大資産家への7兆円もの減税の大盤振る舞いを正せば、消費税に頼らなくても生み出せます。

決定的な審判を下して

 麻生首相が掲げる「景気回復」も「安心社会の実現」も、その第一歩は自公政治を退場させることから始まります。

 日本共産党は財界・大企業から国民の暮らしに軸足を移す経済政策の抜本転換を訴えています。自公政治に決定的な審判を下すためにも、安心と希望の持てる新しい政治を実現するためにも、日本共産党の前進がいよいよ重要です。


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