2009年7月22日(水)「しんぶん赤旗」
女性差別撤廃委始まる
国連 日本のNGOも発言
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【ニューヨーク=小林俊哉】女性に対するあらゆる差別の禁止を定めた女性差別撤廃条約をめぐり、各国の実施状況を検討する国連の女性差別撤廃委員会の審議が20日、ニューヨークの国連本部で始まりました。23日には、日本政府の実施状況が6年ぶりに審査されます。
日本政府は昨年4月に国連に「実施状況報告」を提出し、05年に第2次男女共同参画基本計画を策定したことなどを挙げ、取り組みをアピールしています。
一方、日本の女性団体も報告を作成し、国連に送付しています。日本婦人団体連合会(婦団連)のリポートは、貧困と格差の広がりが女性に重くのしかかっていることを批判。とくに日本政府の社会保障切り捨ての政策が女性の社会進出を阻害する要因となっていると指摘しています。
今回の審査には、多数の女性団体でつくる「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク」(JNNC)のメンバー80人以上が傍聴に詰めかけています。22日には、審査を前に、女性差別撤廃委員と日本のNGOとの懇談も予定されています。
初日の20日は、各国NGOと委員会との非公式会合が開催されました。JNNCを代表して国際女性の地位協会の大谷美紀子弁護士が発言。民法の差別的規定の改正や日本軍「慰安婦」問題の最終的解決など、前回の審査で勧告された内容が実行されないままだと指摘しました。
委員からは、職場での差別の問題や、多数の日本のNGOメンバーが傍聴に来ていることから、日本の女性団体が果たしている役割などについて、質問が相次ぎました。
女性差別撤廃委員会 1979年に国連総会で採択された女性差別撤廃条約に基づく国際機関で、投票で選ばれた23人の委員で構成されます。各国から提出される実施状況報告を審査し、結果を「最終見解」として発表します。日本は85年に同条約を批准。前回03年7月に日本政府の実施状況が審議された際は、22項目の「懸念・要請・勧告」を含む最終見解が発表され、日本政府の差別撤廃の取り組みの遅れを浮き彫りにしました。今回は4度目の審査となります。