2009年7月20日(月)「しんぶん赤旗」
“キヤノン代理人”大賀被告
工事受注で影響力
御手洗会長との深い関係
巨額脱税事件
大分県内のキヤノン工場建設をめぐる巨額脱税事件。17日、東京地裁での初公判で明らかになったのは、コンサルタント会社「大光」社長の大賀規久被告(65)とキヤノン会長の御手洗冨士夫日本経団連会長との深い関係でした。(矢野昌弘)
逮捕前、「おれがキヤノンの窓口」と豪語し、「キヤノン代理人」とも呼ばれた大賀被告。検察の取り調べには「あっせんした業者が受注しないことはなかった」と話していました。
検察側は冒頭陳述で「大賀被告は、キヤノンの幹部(御手洗会長のこと)と親しかったところ、2001年ころから、キヤノンの発注工事につき施工業者をあっせんし、受注業者からあっせん手数料を得るようになった」とのべました。
大賀被告がこうして得たあっせん手数料などの所得は約35億6500万円にのぼります。脱税額は約10億6800万円になります。
検察側が指摘する「大賀被告はキヤノン関連工事の受注業者選定に多大な影響力」(冒頭陳述)。
大賀被告が経営する「大光」、「ライトブラック」(LB)、「匠」などの関連会社は御手洗会長との関係抜きにありえない経営実態だったことが、本紙の取材でもわかっています。
関連会社の元社員は「大賀社長は社内で『御手洗さんがバックにいるから仕事が来ているんだぞ』と話していた」と証言します。売り上げの大半はキヤノン関連でした。
元社員は「LB社がキヤノンのフェンス工事を受注したと聞いたが、会社には人がおらず、どうやって受注をこなすのか奇妙に思っていた」といいます。
東京都内に本社を置くLB社の工事経歴書によると、社員数は4人。小規模にもかかわらず、青森から九州まで、全国のキヤノン施設の工事を請け負っていました。06年6月からの1年間で16件を受注していました。
冒頭陳述では、LB社がフェンス工事を受注したものの、実際には工事を丸投げし、こうして得た工事代金を脱税していたとされています。また大賀被告は、キヤノン側の工事予算を知る立場にいたとされています。こうした事実は、御手洗会長との関係なしにはありえないとみるのが自然です。
これまでにも大賀被告が御手洗氏の自宅用地を取得したり、駐車場の管理を委託されていることなどがわかっています。御手洗氏は「私とキヤノンが関与したことはない」としていますが、さらなる解明が必要です。
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