2009年7月20日(月)「しんぶん赤旗」
株で何百億ともうけた人に
減税1人35億円
自公が進めた証券優遇税制
1人当たり約35億円の減税―。麻生自民・公明内閣が進めてきた証券優遇税制が、一部の高額所得者に巨額の恩恵をもたらしています。国税庁の2007年分申告所得税標本調査をもとに本紙が試算しました。
株式などを売り買いして得られる利益や配当にかかる税金は本来20%の税率が、証券優遇税制によって11年末まで10%に減らされています。こうした証券優遇税制全体の減税は、ピークだった07年では、全体で約1・4兆円規模に達したものとみられます。
07年分申告所得税標本調査によると、合計所得が100億円を超える高額所得者はわずか9人。このうち株式等譲渡所得(申告所得のみ)を主な所得としているのは8人でした。8人の株式譲渡所得の合計は2829億円となり、1人あたり平均354億円の株式等譲渡所得を得ている計算になります。
仮に、これらのすべてに軽減税率が適用されるとして試算すれば、1人当たり約35億円もの減税の恩恵を受けていることになります。
日本共産党は、証券優遇税制や所得税の最高税率などの大資産家優遇税制を改めれば、2兆円の財源を確保できることを提案しています。
民主“優遇継続を”
一方、民主党は、「次の内閣」で了承した「金融危機対応案」(昨年10月15日)で、株式等の売買益と配当にたいする軽減税率の延長を提言。同年12月24日に公表した「税制抜本改革アクションプログラム」でも、「証券税制については、一体課税の環境が整備できるまでの間、現行の優遇税制を延長する」と明言しています。
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証券優遇税制 上場株式等の譲渡益・配当に対する税金の税率を10%(所得税7%、住民税3%)に優遇する税制。譲渡益については、2002年まで本則26%だった税率を自公政権が03年から20%(国15%、地方5%)に優遇した上、03年から07年までこれを半減(10%)。07、09年度税制「改正」で優遇の期限を延長し、現在、11年末が期限です。配当も同様に、20%の税率が10%に優遇されており、期限は11年末までとなっています。
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