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2009年7月15日(水)「しんぶん赤旗」

二階派へ偽装献金 認める

西松元社長 公判で証言

“20年来のつきあい”

東京地裁


 西松建設の違法献金事件で、政治資金規正法違反に問われた元社長の国沢幹雄被告(70)の第2回公判が14日、東京地裁(山口雅高裁判長)で行われ、ダミー(隠れみの)政治団体による自民党の二階俊博経済産業相の派閥政治団体からパーティー券を購入したことについて、同被告は「その通りです」と起訴内容を認めました。また、二階氏と20年来の関係であることも明らかにしました。


 検察側は冒頭陳述で、工事受注の情報収集や人脈開拓などを期待した西松建設が2004年以降、二階氏の秘書から依頼を受けてパーティー券を購入していたと指摘しました。

 二階氏との関係が取りざたされるのを避けるため、同社や関連会社側名義で購入する場合は20万円を上限に購入。購入総額は04年以降で844万円に上るとしました。

 被告人質問で山口裁判長が、「二階氏側をなぜ支援するようになったのか」とたずねると、国沢被告は「故人で前任の会長から『よくお付き合いしろ』という話があり、20年前に引き合わされた」と、同社と二階氏の関係の深さを証言しました。

 二階氏のパーティー券購入をめぐっては、東京地検特捜部は国沢被告を起訴猶予としていました。その後、検察審査会が「起訴相当」を議決したことを受け、初公判後の6月26日に追起訴となっていました。

 追起訴分の起訴状によると、国沢被告は06年6〜7月、西松建設の二つのダミー団体名義で、二階派の政治団体「新しい波」が開催したパーティー券計340万円分を購入したとしています。

 検察側は、国沢被告にたいして小沢一郎民主党前代表の政治団体への違法献金などでの求刑とおなじ、禁固1年6月を改めて求めました。

 これに先立ち、国沢被告とともに外為法違反罪に問われた元副社長藤巻恵次被告(68)には懲役4月、執行猶予2年が言い渡されました。国沢被告の判決は17日の予定です。


解説

なぜ二階氏側を起訴しない

「前の会長から引き合わされ、(二階氏との)付き合いは20年になる」

 国沢幹雄被告の証言で、西松建設による二階俊博経済産業相側への支援は、同社最高首脳の引き継ぎ事項であったことが、14日の第2回公判であきらかになりました。あらためて二階氏と同社の深い関係が浮かび上がります。

 公判で、検察側は二階氏秘書が「西松側にパーティー券購入を依頼したが、ダミー団体については知らなかった」と述べた供述調書を紹介し、二階氏側に違法性の認識がないことを強調しました。

 しかしこの供述は不自然です。二階氏と西松建設の付き合いは、ダミー団体「新政治研究会」(1995年設立)、「未来産業研究会」(同99年)より古い20年来の関係です。ダミー団体経由で献金することになれば、なんらかの連絡をしたと考えるのが自然です。

 検察側冒頭陳述によると、二階氏の秘書は2006年6月に、二階氏が会長の政治団体「新しい波」パーティー券200万円の売りさばきを同社の総務部長に依頼していました。

 検察側によると「新しい波」は、二階派所属議員にパーティー券販売ノルマを課していました。

 二階氏秘書は、ノルマをこなすために西松建設を頼ったわけです。その“信頼関係”を考えても、すべてを承知していたと見るべきでしょう。

 そもそも西松建設側が、二階氏を支援する目的は「官民の工事受注に有益な情報収集や人脈の開拓を期待」(検察側冒頭陳述)したものでした。

 事件の真相が明らかになるにつれ、二階氏側の責任もいっそう鮮明になります。それだけに検察は、二階氏側を起訴して当然です。(矢野昌弘)



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