2009年7月15日(水)「しんぶん赤旗」
元収容所看守を起訴
ユダヤ人2万9000人虐殺関与
ドイツ
ドイツ南部ミュンヘンの検察院は13日、ナチス・ドイツの強制収容所元看守ジョン・デムヤンユク容疑者(89)を、ユダヤ人2万9千人の殺害に手を貸したとして、殺人ほう助罪で起訴したことを明らかにしました。ドイツではナチスの重大な戦争犯罪については時効をなくし、容疑者が生きている間は刑事責任を追及しています。
同容疑者は、ウクライナ生まれ。旧ソ連軍に従軍中の1942年にナチス・ドイツ軍の捕虜となり、ナチス親衛隊に参加、44年まで強制収容所で看守を務めました。ミュンヘン地裁は、同容疑者が現在のポーランドにあったソビボール絶滅収容所でユダヤ人虐殺に関与したとして、ことし3月、国際逮捕状を発行。これに応じた米司法当局が5月12日に身柄をドイツ側に引き渡していました。同容疑者は戦後、ドイツで暮らしていましたが、51年に米国に移民、58年に米市民権を取得しました。
その後70年代に、同じくポーランドにあったトレブリンカ絶滅収容所の看守だったとして告発され、イスラエルで88年に死刑判決を受けました。しかしイスラエル最高裁は93年、別人だった可能性があるとして判決を取り消しています。
しかし米司法省は99年に、ソビボール収容所など三つのナチス収容所で看守をしていた証拠が見つかったとして同容疑者を再告発しました。
ナチス戦犯追跡で有名なサイモン・ウィーゼンタール・センターは同容疑者を生存しているナチス戦犯リストのトップ10の1人に挙げています。