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2009年7月14日(火)「しんぶん赤旗」

演習場断念 原野守った

17年間の運動実る

ドイツ


 ドイツ政府が、同国ブランデンブルク州北西部のキリッツ・ルッピン原野にある旧ソ連の軍事演習場を爆撃演習場として使用する計画を断念しました。ユング国防相が9日の記者会見で言明しました。現地の新聞も「17年間の市民運動の勝利」(ターゲスシュピーゲル紙)と大きく報じました。(片岡正明)


 同原野は面積約142平方キロメートル、湖水と森の美しさを誇る観光地ラインスベルクの西に広がります。東独時代の1950年代に政府が住民から土地を強制収用し、40年間にわたってソ連軍の爆撃演習場として使用。ドイツ統一後は、同国国防省が新型戦闘機ユーロファイターの爆撃演習場として使用を計画しました。

 住民らは92年、計画に反対し、原野返還を求めて草の根平和組織フライエ・ハイデを結成。以来、地道な抗議行動を繰り広げ、周辺自治体の賛同も集めました。

 94年には同原野の軍事目的使用中止と住民への返還を求めて提訴。ベルリン・ブランデンブルク上級地方裁判所は今年3月、「演習場使用を認めない」とする判決を下していました。

 ユング氏は計画断念について、「判決内容を認めるわけではないが、15年にわたる裁判で争われた後に、爆撃演習場として使用するのは現実的ではない」と語りました。

 フライエ・ハイデのベネデクト・シルゲ代表はマスコミに「数多くの抗議の声が事態を動かした」と述べました。また、シュタインマイヤー副首相兼外相も「理性の勝利」と評価しました。

 ただユング氏は住民への土地返還には言及しておらず、軍が返還に応じるかどうかは不透明。平和利用にはソ連軍の演習場だった時代の不発弾などが残されているのも課題です。


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