2009年7月13日(月)「しんぶん赤旗」
主張
教育費軽減懇談会報告
政治を変えてこそ実現できる
文部科学省の「教育安心社会の実現に関する懇談会」が3日、教育費の家計負担軽減を求める報告をまとめました。
国の懇談会等が教育費負担軽減に的をしぼった報告をおこなったのは歴史的に初めてのことです。国民の要求と運動が国を動かしたものとして重要です。
負担軽減は国民の願い
「お金がなくて子どもにまともなコンパスを買ってあげられない」「授業料が払えない。このままでは娘は高校中退になる」――自公政治がもたらした貧困と格差は、国民の子育てを直撃し、各地で深刻な事態が広がりました。教育費負担軽減の願いは切実です。
日本共産党は、「学費が払えず高校卒業、入学できない若者を一人も出さない」などの緊急提案を連続して発表し、国会や地方で、国民と力をあわせて教育費の負担軽減にとりくんできました。
報告は、子どもの教育費を「子ども本人任せ、親任せ、学校任せであって良いわけがない」「社会全体で分担すべき」ものと位置づけました。負担が重すぎる現状については、「教育の階層間格差や貧困の再生産につながり、若者の再チャレンジの機会を奪うことにもなりかねない」との認識を示しました。
そのうえで報告は、幼児教育の無償化、義務教育の就学援助の拡充、高校授業料の減免拡大、大学生の負担軽減、大学院生への給与型経済支援(ティーチング・アシスタント等)など各段階の負担軽減策を示しました。例示された施策は総額1兆3000億円、可能なものから実施すべきだといいます。
報告には足りない点や問題もあります。もっとも根本的なことは、その内容を具体化する展望がなく、現状では絵に描いたもちでおわることです。
報告も認めるように、家計負担が多すぎるのは、日本の教育予算がOECD(経済協力開発機構)30カ国中最下位、同平均の7割という低水準にあるからです。
ところが1日に決定した政府の「来年度予算の基本方針」では、国立大学や私学の予算は前年比1%減、それ以外の教育政策経費は3%減です。重点施策にあてる別枠予算は3500億円しかなく、雇用維持や低炭素革命、社会保障対策など多分野に使われる予定です。自公政府には教育予算の低水準を改める気がありません。
教育予算が増えない大もとには大企業・財界の意向があります。
日本経団連は教育や福祉の予算が増えることを敵視し、ことあるごとに教育予算増の動きをつぶしてきました。貧困が社会問題化したさなかの2007年初頭には、文教予算のこれまで以上の削減努力を決めた骨太方針の実行を改めて要求しています。
財界にモノが言えてこそ
日本共産党は、大企業・財界にモノが言える政党です。国民のくらしを温める政策を実行するため、大企業・大金持ち減税の見直しによる7兆円の財源、米軍への「思いやり予算」2000億円をふくむ5兆円もの軍事費の見直しを提案しています。
財界にモノが言え、予算のゆがみを正せる日本共産党を伸ばし、教育予算をふやして国民がつよく願う教育費負担軽減の道をひらきましょう。
それでこそ報告も生きます。