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2009年7月12日(日)「しんぶん赤旗」

中国 ウルムチ暴動1週間

市民生活正常化へ懸命

格差是正など課題は山積


 【北京=山田俊英】5日に起きた中国新疆(しんきょう)ウイグル自治区ウルムチの騒乱から12日で1週間がたちます。中国政府は暴動で険悪化したウイグル族と漢族との対立をエスカレートさせないよう呼びかける一方、治安部隊を動員して正常な市民生活を回復させようと懸命です。しかし、暴動の背景にある格差や被差別感情の解決は困難な課題です。

 市内では公共交通が回復し、商店が営業を再開し始めています。それでもいつも通りとはいかないため、市当局が野菜や肉を調達しトラックで住宅地に輸送、直販しています。犠牲者、負傷者に対する見舞金の支給も始まりました。

 ウルムチでの暴動に先だって、在外の世界ウイグル会議が、広東省の工場で起きた漢人労働者とウイグル人労働者の衝突事件の真相解明を求める行動を呼びかけていました。

 それもあって、インターネットの接続と国際電話は遮断されたままです。当局は海外からの扇動を防ぐためと説明しています。

 暴動による死者の民族別内訳について、ある専門家は「どちらが多くても必ず怒りが再燃する。非常に微妙なことだ」といいます。

 9日に発表された共産党政治局常務会議の発表文は、暴動を非難しながらも「社会の安定維持」を第一の任務に掲げました。首謀者は処罰する一方、「扇動された群衆」には教育的措置をとるとし、ウイグルという言葉は自治区の地名を除きどこにも使われていません。治安部隊が抑え込んで秩序を回復しても、暴動で深まった民族間の溝を埋めるのは簡単ではありません。

 専門家は「市場経済化で中国どこでも貧富の格差が広がったが、少数民族の地域では民族間の格差となる。民間主導の経済ではどうしても漢族が有利になる。そこに広東省の工場で労働者同士の民族抗争が起きて火がついた」と分析します。


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