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2009年7月10日(金)「しんぶん赤旗」

主張

G8サミット

公約を実現させる運動が必要


 イタリアのラクイラで開かれている主要国首脳会議(サミット)は主要8カ国(G8)による初日の討議をへた声明で、「核兵器のない世界」をめざすことを言明しました。核不拡散条約(NPT)で核兵器の保有が認められている5カ国のうち、米、ロ、英、仏の4カ国が参加したG8が「核兵器のない世界のための条件をつくる」と誓約したのは、核兵器廃絶に向けた前進にとって注目されます。

「核兵器のない世界」へ

 首脳宣言の合意は核兵器をめぐる状況の大きな変化を反映しています。昨年10月の国連総会で、核兵器の廃絶を目指す「新アジェンダ連合」諸国が提出した決議案「核兵器のない世界に向けて」に、核兵器保有国で賛成したのは中国だけでした。アメリカとフランスは反対票を投じ、ロシアとイギリスは棄権しました。

 核不拡散条約は核兵器保有国に核軍縮交渉を義務付けています。実際的な軍縮措置の実行を求めた決議に、当時のブッシュ米政権は反対しました。核軍拡を推進し核兵器の使用をも辞さないとしたブッシュ政権の姿勢が核兵器廃絶への決定的な障害でした。

 そのアメリカのオバマ大統領が4月5日プラハで「核兵器のない世界」を国家目標だと表明したことが流れを変えました。ロシアのメドベージェフ大統領も4月20日ヘルシンキで「核兵器のない世界」が課題だと述べました。

 オバマ大統領は「核兵器のない世界」を目指すうえで、具体的な措置として3点を挙げました。そのひとつの米ロ核兵器削減交渉について、米ロ両首脳はサミット直前の6日、戦略核兵器の弾頭数などを削減する新たな枠組みに合意しました。核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約の締結に向けた交渉も、ジュネーブの軍縮会議で開始されます。

 これらはそれぞれ重要な前進です。しかし、それだけで「核兵器のない世界」を実現することはできません。核兵器廃絶には廃絶を直接めざすイニシアチブが欠かせません。日本共産党の志位和夫委員長がオバマ大統領に書簡を送り、「核兵器廃絶のための国際条約の締結をめざして、国際交渉を開始するイニシアチブを発揮することを、強く要請する」としたのはそのためです。核兵器廃絶のための国際交渉の実現に向けた世論と運動をいっそう盛り上げることが求められます。

温暖化対策でも前進

 今回のG8サミットは地球温暖化を防ぐ取り組みでも前進をみました。宣言は、産業革命以前からの気温上昇を2度以内に抑えるべきだとの科学の要請を「認識」するとし、温室効果ガスの排出を先進国全体で2050年までに80%以上削減すると表明しました。欧州諸国の努力が反映しています。昨年の洞爺湖サミットでは、世界全体で50%以上の削減をめざすとしましたが、先進国自身の目標は示しませんでした。

 ただ、中国やインドなど新興諸国と合意に至らず、13年以降の排出削減の枠組みをめぐる国際交渉の困難さを示しています。

 麻生政権は核兵器廃絶でも地球環境でも世界の流れの先頭に立つどころか、後ろ向きです。政府にサミット参加国としての国際公約を実行させることは日本国民の役割です。


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