2009年7月9日(木)「しんぶん赤旗」
1メートル1億円 外環道建設
自公民ムダ遣い推進
東京の福祉を切り捨てる一方で、1メートル1億円もかける巨額な高速道路建設を、都議会の自民、民主、公明の「オール与党」がすすめようとしています。都民の生活がたいへんなとき、このゼネコンのためのムダ遣いを許していいのか、都議選で問われています。
足並みそろえて事業着手を迫る
東京外郭環状道路(外環道)建設は沿線住民の反対運動で1970年に国が計画を凍結していました。ところが高速道路の建設計画を審議する政府の会議(国土開発幹線自動車道建設会議、4月27日)で、自民、公明、民主の国会議員などが賛成して練馬から世田谷までの事業化(16キロメートル)が決まりました。都議会では、外環道の用地買収に踏み出す補正予算を自民、民主、公明各党が賛成し可決しました(6月5日)。
自公民3党の都議は「東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟」(別項)をつくり、足並みをそろえて都や政府に建設を繰り返し迫ってきました。
背景にあるのは、財界の要望です。地下40メートルに直径16メートルの大深度トンネルを2本通す計画は、かけるお金もケタ違い。日本共産党の笠井亮衆院議員は入手した資料をもとに、国会で事業計画にゼネコン、鉄鋼産業、重工業産業が食い込み、大深度トンネルをすすめていたことを明らかにしました。
民主、議会で督促 都議選では“批判”
こうしたムダ遣いを自民党は「外環は経済対策としても有効」(3月11日、鈴木一光総務会長)と持ち上げ、公明党は「道路をつくれば公害が増えたのはかつての常識。むしろ環境はよくなる」(7月3日、中嶋義雄幹事長)と宣伝しています。
民主党も都議会で「(外環道を含む)3環状道路に、ヒト、モノ、カネを集中して、これらを優先的に整備すべき」(田中良都議、01年2月28日)だと督促してきました。
その民主党が都議選で突然の野党ポーズをとっています。
菅直人代表代行は「石原さんという人はオリンピックを口実にコンクリート、コンクリート、コンクリートってやろうと思っているんですよ」(7月3日)と石原知事批判の街頭演説を行いました。
小川敏夫参院議員も「一度はストップした高速道路をまたつくろうとし、無駄づかいを助長する政治」(6月13日)と宣伝。自公民「オール与党」による外環道推進の事実を隠し通そうとしています。
ただ、本音は変わっていないため、都議会民主党の田中良幹事長が市民団体が実施した候補者アンケート(6月14日発表)に対し、外環道は「早期に推進すべき」だと回答しています。
自公民都議76人が促進議連
「東京都議会外かく環状道路建設促進議員連盟」は住民の反対で凍結状態だった建設計画の早期着工を狙って01年9月に設立されました。
議連メンバーには自民党の高島直樹幹事長、民主党の田中良幹事長、公明党の中嶋義雄幹事長など、都議会「オール与党」の幹部がそろって名を連ねています。現在、自民48人、民主9人、公明19人の計76人が参加。会長は自民党の遠藤衛都議です。
設立趣意書によると、議員連盟は外環道建設を「もっとも優先度の高い事業」と位置づけ、「議員一人ひとりの力を結集し、外環の早期整備をめざして、力強い運動を展開」するとしています。
国土交通相に繰り返し建設を要請し、08年12月には「事業着手の機は熟した」と早期着工を求める緊急決議をあげました。
石原知事も、自身の政策を支えた自公民の都議たちに感謝し「議員連盟からも多くのご支援をいただいた」(6月2日、都議会本会議)と述べています。
共産党は中止求める
暮らし密着事業にこそ
日本共産党東京都議団は外環道の建設に一貫して反対し、計画の中止を求めてきました。
政府が追加経済対策で事業着手を打ち出したのを受け、こくた恵二国対委員長、笠井亮衆院議員と党都議団は計画の中止を政府に申し入れました(4月16日)。
ムダな大型開発をやめ、都民が本当に必要としている特別養護老人ホームや認可保育所の増設など暮らし密着の事業に切り替えて、中小業者の仕事や雇用の創出につなげることを提案しています。
東京外郭環状道路 練馬―世田谷間16キロを結ぶ高速道路。地上、地下あわせて総事業費1兆8千億円。1メートルで約1億円以上かかる計算です。沿線住民からは環境破壊、呼吸器疾患の増加を懸念する声があがっています。
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