2009年7月8日(水)「しんぶん赤旗」
鳩山代表の偽装献金
怒る有権者 揺れる民主
党内からも「かばいようがない」
「選挙ではどこでも謝りっぱなし。鳩山代表の都議選第一声でもカネの問題で聴衆からヤジが飛んだ」
ある民主党若手議員はぼやきます。鳩山由紀夫代表の偽装献金疑惑に同党が揺れています。4日の「読売」の世論調査に続いて5日の共同通信の調査でも、鳩山氏の説明に「納得できない」という有権者が約8割に上りました。
「有権者は自民も民主も“同類”と感じている。一体この国の政治はどうなっているのだと怒っている」。選挙実務に携わる同党関係者も嘆きます。
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6月30日に鳩山氏は記者会見を開き、偽装献金について釈明しました。なぜ秘書が死亡した人の名義まで使って個人献金を偽装したのか、疑惑の核心について「個人献金があまりに少なく、それがわかったら大変だという思いがあった」と述べました。ところが、ここ10年だけで個人献金が6億円もあることが判明。3日には「企業団体献金がなかなか集まらない(から)」と、説明を「変更」しました。
しかし、「企業献金の不足」と言ってみても、死亡した人や実在しない人の名義を勝手に使用した異常な献金偽装の「説明」にはなりません。しかも「すべて秘書の独断」と言って自身の責任逃れをはかる鳩山氏の姿勢に、「古い自民党と同じ」と有権者の不信感が強まるのは当然です。
「入金の原資が何か―。ここが核心だが、まったく説明できない。誰にもいえない事情がある」「まったくどうなっているのか。これではかばいようがない」。複数の議員が苦しい表情を浮かべます。
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岡田克也幹事長が記者会見で「私は納得した」とくり返し、強引な幕引きをはかる姿勢にも不信感が拡大しています。ある衆院議員は、5日の静岡県知事選挙で勝ったことで「みそぎは済んだ」とのべましたが、「それじゃ第二自民党だ」と別のある議員は、ため息をつきます。
衆院政治倫理公選法特別委員会では、民主党提出の政治資金規正法改定案についての審議を民主党自身が拒否するという異常事態に。「国対の指示だが、まったく説明できない」と関係者も焦りを隠しません。
中堅衆院議員や小沢グループの幹部らは苦境を語ります。
「何か党として発信しなければならないが、今改めてメディアの前に出ても、きちんとした説明はできないだろう。かえってマイナスになる。最初の会見も明らかにウソをついたという印象でアウトだ」
「総選挙は鳩山でやりきるしかないが、仮に勝てても『鳩山総理はもうない』と党内でささやかれている。『政権交代』直後の予算委員会で首相の金権疑惑が追及されるような構図は最悪だ。かといって選挙目前に鳩山辞任になれば、民主党は崩壊する。今は目をつぶったまま突っ走るしかない」
一方、自民党は、与謝野馨財務相、二階俊博経済産業相、佐藤勉総務相など多くの疑惑閣僚、政治家を抱えながら、自ら解明する姿勢は示さず、「鳩山氏の参考人招致」だけをくり返し要求する党略的対応に終始しています。
「二大政党」を覆う金権腐敗問題。選挙を前に国会での徹底した真相解明が緊急に求められています。(中祖寅一)