2009年7月7日(火)「しんぶん赤旗」
主張
鳩山氏の偽装献金
国会で徹底して解明すべきだ
鳩山由紀夫民主党代表が政治資金収支報告書で、亡くなった人や献金した覚えのない人の名前、存在しない住所などで個人献金を届け出ていた問題がいっこうに解明されていません。鳩山氏の弁明や訂正は、疑惑を深めさせるものです。民主党は疑惑の調査さえせず、国会の委員会まで欠席しました。
マスメディアの世論調査でも、鳩山氏の説明に「説明不足」が80%(4日付「読売」)、「納得できなかった」が78・3%(6日付「東京」など)となっています。鳩山氏と民主党が自ら疑惑に答えるとともに、国会が疑惑解明の責任を果たすことは急務です。
偽装は重大な犯罪行為
疑惑をもたれた鳩山氏への献金は、鳩山氏が弁護士に依頼して調査し政治資金収支報告書を訂正しただけでも、2005年からの4年間で193件、2178万円近くにのぼっています。1年あたりにすれば平均的なサラリーマンの年収にも匹敵する金額です。
政治資金を公開し、国民の「不断の監視と批判」のもとに置くことを定めた政治資金規正法は、収支報告書の虚偽記載を禁止し、名義を偽った献金も禁止しています。政治資金規正法違反といわれても弁解の余地がありません。訂正するにしても、鳩山氏には巨額の届け出をなぜ偽装したのか、もともとはどんな金だったのかを、説明する責任があります。
鳩山氏は調査発表(6月30日)にあたって、問題になった政治団体「友愛政経懇話会」への個人献金が少なかったので、秘書が「大変だ」と思ってやったのではないかなどと説明しました。ところが同懇話会への個人献金は、10年間で約6億円にものぼります。献金が少ないというのは通用しません。鳩山氏はわずか3日後には、「企業・団体献金が集まらないから」と言い出しました。政治家個人への企業献金はもともと禁止されており、説明に値しません。
資金の出所はどこか。鳩山氏は名義を偽った献金の原資は、秘書に預けてあった自らの金だったと説明しましたが、それを証明するものは何もありません。なぜ貸付金ではなく、個人献金として処理したのか疑問は深まります。
鳩山氏はあわてて収支報告書を訂正しましたが、それによると出所(「実名」)が明示されていた個人献金のうち金額で約7割が虚偽だったことになります。これでは収支報告書そのものの信ぴょう性が疑わしくなります。
しかも鳩山氏の政治団体ではもともと個人献金の多くがだれの献金かを明らかにしなくてもいい、1口5万円以下の匿名献金として届けられています。その総額は10年間で3億3800万円にものぼります。「実名」献金の大半が虚偽だったとなれば、匿名献金の実態はどのようなものだったのか。疑惑はいっそう深くなります。
議会政治の根幹かかわる
衆院の政治倫理綱領は、「政治倫理の確立は、議会政治の根幹」であると定めています。疑惑をもたれた政治家が自らその解明にあたるのは当然で、民主党が国会の政治倫理・公選法特別委を欠席したなどというのは大問題です。
国会は参考人招致など解明に責任を果たすべきです。小沢一郎民主党前代表や二階俊博経産相の違法献金疑惑、与謝野馨財務相の献金疑惑も解明するのは当然です。