2009年7月5日(日)「しんぶん赤旗」
直行便就航から1年
加速する中台交流
経済一体化さらに
敵対状態の終結めざす
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【北京=山田俊英】中国と台湾の交流窓口機関による10年ぶりのトップ会談(昨年6月12日)から1年たち、4日には直行航空チャーター便が就航1年を迎えました。この間、中台の交流はめざましく加速しました。自由貿易協定にあたる「経済協力に関する枠組み」(ECFA)締結を目指す協議も近く実現しそうです。
週末の36便から始まった直行便は現在、平日を含め週108便。来月には正式に定期便が就航し、今後270便に増えます。以前は他国や香港を経由していた中台間の移動で日帰りが可能になり、旅客数はこの1年で延べ160万人に達しました。
双方の交流機関、海峡両岸関係協会(中国)と海峡交流基金会(台湾)のトップ会談は半年ごとに定期開催されています。今年後半の会合ではECFA締結交渉について取り上げる見込みです。ECFAは関税撤廃など中台の自由貿易を取り決める協定で、経済一体化がさらに進みます。世界金融危機による不況から抜け出す上でも双方の政権が重視しています。
中国政府はそれを先取りしています。国務院(内閣)は5月、台湾の対岸、福建省で「海峡西岸経済区」の建設を急ぐ方針を決めました。ここを拠点に台湾と経済交流を拡大します。同省政府も台湾と自由貿易を行う試験区の設置を決定。省都福州市にアジア最大の水産物取引所を設けることや、アモイを人民元と台湾ドルの決済センターとする計画も明らかにされています。
政治分野での交流には双方とも慎重ですが、5月に行われた中台政権党の党首会談では胡錦濤・中国共産党総書記が、双方の敵対状態終結を目指して軍事面で相互信頼の仕組みをつくる協議を提案。台湾の呉伯雄・国民党主席も前向きな姿勢を示しました。