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2009年7月5日(日)「しんぶん赤旗」

主張

「日米密約」

安保に付随する異常ただせ


 外務官僚トップの事務次官経験者4人が先月初め米軍の日本への核兵器持ち込みを認める「密約」があったと証言しました。続いてその一人でもある村田良平氏は実名を出して、密約文書を「引き継いだ」などと認めました。「密約」の存在を否定する政府への批判があらためて噴出しています。

 いわゆる核密約の文書そのものは、すでに米政府の解禁文書などで全文が明らかになっていますが、元外務次官がそれを裏付けたことは重大です。「密約」を公開させ破棄させるとともに、大本である日米安保条約を見直すことがいよいよ重要になっています。

生まれながらの闇

 村田氏は1987年7月から2年間外務次官を務め、すでに昨年9月にだした回顧録で、60年の安保条約改定交渉時に核兵器積載艦船の「寄港及び領海通過には事前協議は必要でないとの秘密の了解が日米間にあったのである」としていました。今回の証言では、日本側の密約文書は「外務省で使う事務用紙に書かれ、封筒に入っていた」「当時の外相に説明した」と、当事者らしくより具体的です。

 「密約」は60年に改定された現行日米安保条約に付随して日米両政府がかわしたものです。日本共産党は米国立公文書館で60年1月6日の日米の「討論記録」などを入手し、不破哲三委員長(当時)が2000年3月から4月の国会で、当時の小渕恵三、森喜朗の両首相に文書の全文を示してきびしく追及しています。

 「密約」追及に対し政府は、「密約はない」と、シラを切り続けてきました。村田氏ら元外務次官の証言で、このうそが完全に崩れました。

 核兵器を積んだ米艦船の「寄港」や「領海通過」を認めるというのは、政府が、国民に約束してきた核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」の「非核三原則」の政策をそもそも守る気がなかったということを示すものです。被爆国日本への核持ち込みは断じて許されません。「密約」を公開させるとともに破棄させ、核兵器を持ち込ませない原則を厳格に守らせることが不可欠です。

 見過ごせないのは、日米安保に付随した密約は、核兵器持ち込み容認の「密約」以外にも及んでいることです、朝鮮半島有事の際の米軍の自由出撃や、沖縄返還時の密約、米兵への裁判権放棄などの「密約」が問題になってきました。「密約」は文字通り安保条約の生まれながらの闇です。

 「密約」は、日本の主権を侵害し国民の平和と安全を脅かす、あまりに屈辱的な日米安保に対する国民の批判をかわすための産物です。密約と一体の安保条約を21世紀の現在も続けるのは許されません。「密約」の破棄とともに、日米安保条約=軍事同盟の廃棄をめざすことが重要です。

国会は役割果たせ

 元外務次官の証言を契機に、衆議院外務委員会や参議院外交防衛委員会で、村田元次官らを招致し、証言させる方向での検討が進んでいます。立法府として密約問題の解明に向けた動きをするのはかつてないことです。

 政府のうそを許さないのは立法府の責任です。密約の闇にメスを入れることは、日米関係の異常をただすことにもなります。



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