2009年6月30日(火)「しんぶん赤旗」
とどろく爆音
米軍ヘリ旋回 市が抗議文
沖縄・宜野湾
「何がはじまった」「怖い」。沖縄県宜野湾市の市街地上空で26日午後2時すぎ、米軍普天間基地所属のCH46Eヘリが11機編隊による旋回飛行をくりかえしました。市内にとどろく爆音と異様な光景に市民から不安と怒りの声があがっています。
同市基地渉外課によれば、米軍ヘリは午後2時20分すぎ、基地北側方向から次々に離陸。11機が約10分間にわたり市街地上空で2回旋回したといいます。
市役所には「ヘリがたくさん飛んでいる、怖い」(女性)、「大きな音がするので家を飛び出した。近所の人も外に出ている。なにが起きたのか」(男性)などの不安と抗議の電話がありました。
市基地渉外課は、「これまでイラクへの出撃や帰還するときなどに4機、6機の編隊飛行はあったが11機なんて見たこともない、異常だ」と驚きの表情を隠しません。
伊波洋一市長は米海兵隊、日本政府などに「戦場さながらの異様な訓練は、市民に不安や恐怖を与えるもので容認できない。厳重に抗議し、今後一切の住宅地上空での訓練中止を求める」との抗議文を提出しました。
解説
新基地許せば名護も
宜野湾市は、11機もの大編隊飛行を写真に撮影し、「戦場さながら」の異常な光景を告発しました。
普天間基地の周辺には13の小中学校を含む高校、大学など多数の教育施設や医療機関、福祉施設があります。2004年8月、沖縄国際大学構内にCH53D大型ヘリが墜落したばかりです。
宜野湾市の編隊飛行抗議に、米軍、日本政府は無視の態度です。
今回の大編隊飛行は一方で、名護市辺野古崎での新基地建設をめぐる「民間地上空は飛ばない」など日本政府の発言の無責任さを改めて浮き彫りにしています。同じ26日、宜野座村松田地区では沖縄防衛局が新基地計画の説明会を開催。米軍機の飛行航路や騒音問題で住民から厳しい声があがりました。
松田区の當間嗣信区長は普天間基地での11機編隊飛行問題の本質をこう語っています。「編隊飛行は、(新基地の)運用がはじまれば何が起きるのか、を教えている。新基地計画は反対だ」
日米両政府は普天間基地の県内たらい回しや県外移設ではなく、無条件撤去の道を真剣に探る時です。(山本眞直)
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