2009年6月24日(水)「しんぶん赤旗」
社会保障削減路線
しがみつく自公政権
福祉拡充への転換は共産党伸ばしてこそ
麻生内閣が決定した「骨太方針09」は、焦点となっていた社会保障費の削減路線について、「来年度予算編成では適用しない」「社会保障の必要な修復をする」などといいつつ、「骨太06を踏まえて歳出改革を継続」と明記しました。これは、来年度は見送るものの、いまや国民の命を脅かすまでになっている社会保障削減路線を維持するという宣言です。
日本共産党の小池晃議員が18日の参院厚生労働委員会で明らかにしたように、社会保障費の削減路線によって、2002年度から11年度までの累計で12兆9千億円もの社会保障費が失われる計算になります。
各分野で制度改悪
しかも、自民党の加藤紘一元幹事長が「2200億円を切るという意味だから社会保障制度を後退させるための5、6年であった」(23日)と認めるように、社会保障費削減路線のもとで、社会保障制度は医療・介護・年金・障害者福祉とあらゆる分野にわたって制度改悪が続けられました。
10年度だけ見送るだけでなく、いま社会保障の削減から拡充へ根本的に転換しなければ、国民の命と暮らしを脅かしている現状を改めることはできません。
しかも、麻生自公政権は、3年後には「社会保障財源」を口実に消費税増税まで狙っています。これでは、「歳出をどんどん切り詰めていけば、『やめてほしい』という声がでてくる。『増税してもいいから、必要な施策はやってくれ』という状況になるまで、徹底的にカットしないといけない」(06年の経済財政諮問会議)と述べた小泉純一郎元首相の狙いどおりです。
日本共産党は、社会保障費の削減がもたらす結果を警告し、一貫して削減路線に反対してきました。02年2月の衆院代表質問では志位和夫委員長が医療費の負担増に対して、「深刻な受診抑制が引き起こされている事態に、おいうちをかける」と批判し、「社会保障を財政の主役にすえ、国が財政的責任を果たす」ことを求めました。07年10月の代表質問では、貧困と格差を解消するためにも「社会保障予算抑制路線からの転換をはかる決意はあるか」と迫りました。
増税競い合う民主
社会保障を削減から拡充に転換するには、ゆきづまった自公政治そのものを転換するしかありません。しかし、民主党にそれができるのか。同党は05年4月の日本経団連との懇談で、「社会保障については痛みをともなう改革が不可欠である」という経団連側の問いかけに対して、「歳出改革では社会保障もタブー視せずに議論する」と回答。同年7月に示された同党の「財政健全化プラン(中間報告)」には「社会保障に係わる予算の伸び率はGDP(国内総生産)の伸び率以下に抑制する」と給付抑制策が明記されました。
08年からは「これ以上の社会保障費の抑制は適当でない」と言い出しましたが、将来的な財源を消費税に求める点は自民党と変わりません。民主党は政権をとって4年間は消費税増税を凍結するというだけで、「いずれ、消費税を上げるお願いをしないといけない」(直嶋正行政調会長)と増税を競い合っています。
社会保障費を削減から拡充に転換し、誰でも平等に必要な給付が受けられるようにと主張する日本共産党を伸ばして、社会保障でも欧州並みのルールを築くことが求められます。