2009年6月24日(水)「しんぶん赤旗」
イラン防衛隊
抗議に武力鎮圧と警告
懸念される事態深刻化
【カイロ=松本眞志】イラン革命防衛隊は22日、「法を侵害する暴徒らには、革命的やり方で断固として立ち向かう」とウェブサイトで声明を発表し、大統領選不正疑惑をめぐる抗議行動に武力鎮圧も辞さない構えを明らかにしました。
防衛隊が今回の事態でこのような声明を出すのは初めて。衝突のいっそうの深刻化が懸念されます。
イラン議会のシャハロキ法務委員長も、改革派指導者のムサビ元首相について「違法な抗議、挑発的な声明の発表」を理由に訴追するべきだと訴えました。
政府・保守派の相次ぐ強硬声明は、最高指導者ハメネイ師とアハマディネジャド大統領の現体制を守り、譲歩を拒否する強い決意を表明したものとみられます。
一方、改革派のハタミ前大統領は21日に軍部が事態のイニシアチブをとることに警告を発しました。カルビ元国会議長は事態の平和的解決に向けて護憲評議会に手紙を送り、「一部の票を再集計することに時間を浪費するのではなく、選挙そのものを無効とするべきだ」と主張しました。
両派の主張に現在のところ妥協点は見いだせません。
開票の13日からの抗議行動で、これまでに死者は20人近く、負傷者は100人、拘束者は450人以上とされます。
政府系テレビ・プレスTVは22日、首都テヘラン市内の広場に集まったムサビ氏支持者が治安部隊に強制解散させられたと報じました。20日にデモ参加者が撮影した民兵組織バシジに射殺された若い女性の映像がインターネットで流れて衝撃を与え、女性の葬儀を当局が妨害したとの情報も伝えられています。
革命防衛隊 親米王政を倒した1979年の「イラン・イスラム革命」直後に創設された軍事組織。国王派の影響の残る国軍に代わり、同革命の「守護者」の役割を果たしてきました。80年代のイラン・イラク戦争時に、完全な軍事組織として発展。現在の規模は約12万人で、独自のミサイル部隊や艦艇を保有。戦時には数百万人を動員可能な民兵組織バシジを傘下に持ちます。最高指導者の警護や反体制派の排除、国境警護などを担っています。