2009年6月22日(月)「しんぶん赤旗」
定期契約導入を批判
公団自治協総会「借家権 骨抜きに」
全国公団住宅自治会協議会の第36回定期総会が、栃木県那須町で20、21の両日開かれました。
総会では、公団住宅の売却・削減・民営化に反対し、公共住宅を守る活動について、多和田栄治代表幹事が報告。とりわけ「規制改革推進のための3カ年計画」の閣議決定を受ける形で、都市再生機構(UR)が、既存のUR賃貸住宅の32団地、約3万戸に契約期限がくれば更新せず、契約中止にできる定期借家契約を導入することを批判。借家権を骨抜きにするものだとして、導入の撤回を求めました。
また、昨年実施された、「団地の生活と住まいアンケート活動」では、世帯主の高齢化が急速にすすんでいる実態を紹介。それだけに家賃の据え置きや引き下げの要求が強まっているとのべました。
家賃値上げ反対運動と国会・地方議会への働きかけで、4月実施予定だった値上げを「当面延期」させたことは、「運動の画期的成果」と語りました。
総会では、定期借家契約の導入反対、「住まいは福祉・住まいは人権」の理念を実現、国民だれもが安心と豊かさを実感できる住宅政策を要求しよう、などとした総会決議を採択。林守一氏ら7人の代表幹事を承認して、閉会しました。日本共産党中央委員会など政党、団体のメッセージが紹介されました。
解説
借家人追い出し狙う財界
定期借家契約は、1999年12月に当時の自民・公明・自由各党が議員提案として借地借家法を改悪し導入したものです。日本共産党と社民党以外の各党が賛成し、成立させました。
財界・不動産業界の要望で、法成立のために不動産業界が自民・公明党に猛烈な陳情合戦を繰り広げ、両党の国会議員約100人に2億円に上る献金などを行ったことが、国会でも問題になりました。
しかし、定期借家契約が制度化されたものの、その普及はすすんでいません。推進派は、都市再生機構(UR)住宅や公営住宅など公共住宅に導入することによって、普及を促進しようとする意図があります。
また、昨年末の政府の規制改革会議の第3次答申では、「普通借家契約と異なり、定期借家契約であれば期間満了時の家賃改定、退去の要請など柔軟に対応が可能」などとし、借家人追い出しが目的であることを露骨に表明しています。
借地借家法では、貸し手に正当な理由がない限り、借り手に退去を求めることができません。これを骨抜きにし、いまURが強引にすすめる、賃貸住宅の削減・売却を容易にすすめるための布石でもあります。(党国民運動委員会・高瀬康正)