2009年6月22日(月)「しんぶん赤旗」

主張

消費税増税

財界にモノを言えない政治


 政府・与党が今週にも決定する予定の2009年版「骨太方針」で、消費税の増税が改めて大きな焦点となっています。

 自民党、公明党は今国会で、2011年度までに消費税増税の法案を成立させると明記した法律を強行しました。「骨太方針」の原案は、これを「着実に具体化する」とのべています。

 経済財政諮問会議で張富士夫トヨタ会長らは、債務残高の対GDP(国内総生産)比を引き下げるには、7%の消費税増税が必要だという「試算」を示しました。

 自公政権は消費税の大幅増税へ走り出そうとしています。

社会保障を口実にして

 自公は「消費税増税は社会保障の機能強化のためだ」と言っています。しかし「試算」は、過去の失政や大企業・大銀行への大盤振る舞いで積み上げてきた借金の穴埋めまで、消費税の増税でまかなうという前提に立っています。

 この点は、税制の「中期プログラム」を議論した昨年11月の経済財政諮問会議で、民間メンバーがはっきりとのべています。「社会保障のほころびを縫い合わせる」ということで負担増に国民の理解を得ることは、「財政再建の見地から必要である負担増に理解を得ることと一石二鳥」だ―。

 しかも、中期プログラムは税制の「抜本改革」の基本方向として、消費税率引き上げとともに、「法人実効税率の引き下げ」を検討すると明記しています。消費税増税による増収で大企業向け減税の穴を埋めようという狙いは、隠しようもありません。

 与謝野馨財務相は、社会保障の自然増を毎年2200億円も削減する方針を、来年度予算でも続けると明言しています。医療崩壊をはじめ、社会保障のあらゆる分野で深刻な事態を加速してきた社会保障の抑制路線を続けながら、「社会保障の機能強化」を掲げるのは大きな矛盾です。

 2200億円の削減について、与謝野大臣は「社会保障を何か削り取っている感じは実はありません」と本音を語っています(9日の記者会見)。政府・与党は、国民の痛みをまったく理解できないようです。痛みを理解できない政府・与党が「社会保障の機能強化」を掲げても、消費税増税の口実にしているとしかいえません。

 何より、逆進性が強い消費税の増税は、「構造改革」で最も過酷に痛めつけられてきた若者、高齢者、単身親家庭などに、最も重い負担を強いるやり方です。社会保障の財源づくりに一番ふさわしくないことは明らかです。

 財源を生み出すためには、株取引や配当への課税強化、ゆきすぎた大企業減税を元に戻すなど、所得再分配を図る社会保障にふさわしい方法を検討すべきです。

民主党も“面接”で

 民主党も与党と同じです。日本経団連の献金査定のための“面接”に当たる「政策を語る会」に今月初め、代表としては3年ぶりに鳩山由紀夫代表が出席しました。ここで民主は、「消費税増税は段階を踏んで実行していきたい」「法人実効税率は先進国並みに(引き下げる)」と約束しました。

 消費税増税、大企業減税の旗振り役は財界です。企業献金に頼って財界にモノが言えない政治では、財界が設定した身勝手な枠組みを取り払うことはできません。



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