2009年6月19日(金)「しんぶん赤旗」

「海賊」派兵法案を否決

井上議員が反対討論

参院外防委


 参院外交防衛委員会は18日、自衛隊の海外派兵を拡大する「海賊対処」派兵新法案を、日本共産党、民主党、社民党の反対多数で否決しました。19日の参院本会議でも否決される見通しですが、与党は同日の衆院本会議で3分の2以上の賛成多数で再可決し、成立させる構えです。

 法案への反対討論に立った日本共産党の井上哲士議員は、ソマリア沖の海賊多発の背景には、長期間の紛争と外国の介入による荒廃と貧困があり、軍隊派遣は「ソマリアの人々の外国への不信を広げるだけだ」と指摘。「ソマリア再建への支援や、ソマリアと周辺国の海上警備能力の向上への財政的・技術的支援を強めるのが憲法9条を持つ日本の役割だ」と強調しました。

 また井上氏は、同法案が自衛隊に船体射撃の権限を与えていることをあげ、「実力組織である自衛隊が戦後初めて人を殺傷しかねないものであり、到底容認できない」と主張しました。


和平・貧困対策支援こそ

参院外防委 井上議員が質問

 日本共産党の井上哲士議員は18日の参院外交防衛委員会で、ソマリア沖の海賊問題について麻生太郎首相をただしました。

 井上氏は、軍事介入等でソマリアに「破たん国家」と呼ばれる事態をつくり出した先進諸国の歴史的責任を強調。貧困に拍車をかけ、住民を海賊行為に駆り立てている外国船の違法操業・水産資源の乱獲や、廃棄物の不法投棄について「国際的な取り組みはどうなっているのか」と質問しました。中曽根弘文外相は、「ソマリア暫定政府や周辺国から、違法操業や不法投棄の問題が提起されている。取り組みが十分とは言い難い」と認めました。

 井上氏は、「外国船の乱獲や不法投棄は取り締まらず、(海賊行為をする)ソマリア人は外国軍隊が取り締まるという状況だ。ソマリア人は、外国部隊の活動は、不法な漁業の事業活動を守るためのものととらえている」と指摘し、「ソマリアの紛争と貧困の解決こそ取り組むべきだ」と追及しました。

 麻生首相は「(支援の)いろいろな努力はしているが、われわれの船が襲われるのを放っておいて、そちら(支援)だけするのはおかしい」と答弁。井上氏は、「和平の足をひっぱる軍事的対応でなく、和平や貧困対策の支援に集中してこそ、早期の海賊問題解決につながる」と強調しました。



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