2009年6月17日(水)「しんぶん赤旗」
中期目標は産業界主導
温室効果ガス
市田議員 抜本的見直し要求
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日本共産党の市田忠義議員は16日の参院環境委員会で、麻生太郎首相が10日に発表した2020年までの温室効果ガス削減の中期目標(1990年比8%減)が、産業界主導で決められていた実態を明らかにしました。
市田氏は、日本経団連の三村明夫副会長の「京都議定書は外交上の失敗」との発言について政府の認識を質問。斉藤鉄夫環境相は「議定書は政府の目標であり、存在を否定する発言は容認できない」と述べました。
市田氏は、政府の決定した中期目標の前提が、経済産業省の総合資源エネルギー調査会需給部会の「長期エネルギー需給見通し」に酷似していることを示し、関係を質問。斉藤環境相は、「(政府が検討段階で提示していた)(1)から(6)の案のうち(『長期需給見通し』を前提とした)(3)案がベースになっている」と認めました。
市田氏は、同調査会会長が京都議定書を否定した三村氏であること、需給部会には石油連盟会長や東京ガス会長、日本自動車工業会会長といった経済界代表が多数参加していることを指摘。同調査会がエネルギー関連業界代表による“家族会議”と呼ばれていることもあげ、「中期目標が、経済界・産業界が許容する範囲内となったことは明らかだ」と批判しました。
市田氏はまた、麻生首相の“中期目標の達成には相応の国民負担が必要”との発言も、「長期需給見通し」が前提になっていると指摘。国立環境研究所の試算では、25%削減でも国民負担は大きくならないことを明らかにしました。
市田氏は「国民負担を強調することで高い削減目標を否定的に描いている」と批判。産業界と大幅削減の協定を結ぶ、再生可能エネルギーの比率を20%に拡大することなどにより、中期目標を抜本的に見直すよう求めました。