2009年6月13日(土)「しんぶん赤旗」
郵政民営化利権 西川社長の責任大
国民財産たたき売り 出身銀行が受注独占
鳩山邦夫総務相の辞任というかたちで“幕”となった「日本郵政」の西川善文社長の進退問題。同社をめぐる「かんぽの宿」の一括譲渡や、出身母体である三井住友銀行との不透明な関係など、郵政民営化がもたらした利権、不祥事の数かず…。西川氏がトップとして君臨する日本郵政の問題体質は深刻です。
西川氏は、三井住友銀行の頭取などを経て、日本郵政の社長に就任、民営化路線を推進してきました。経営監督のために取締役会に設置されている「指名委員会」が、牛尾治朗・ウシオ電機会長、奥田碩(ひろし)・トヨタ自動車取締役相談役、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長という顔ぶれにみられるように、財界あげて西川氏を支えてきました。
そのもとで、進められたのは、当然、財界とアメリカの要求にそったものでした。
かんぽの宿譲渡
「かんぽの宿」問題では、「規制緩和」・民営化路線の旗振り役だったオリックスの宮内義彦会長が率いるオリックス不動産に、約109億円という超安値で一括譲渡(売却)しようとして、国民の批判をあびました。
施設の一括売却にあたり、財務アドバイザーに起用したのは、メリルリンチ日本証券。オリックス不動産への譲渡完了後に最低6億円の成功報酬を支払う契約を結んでいました。
西川氏が総裁だった旧日本郵政公社の不動産の一括売却でも、三井住友銀行が大株主のキョウデングループ企業が「かんぽの宿」など8件を取得。約340億円かけて建設されたのに、売却価格は約11億円というもので、問題になりました。大手不動産会社のリクルートコスモス(現コスモスイニシア)、長谷工コーポレーションなども群がりました。
国民の共有財産をたたき売りする西川氏の責任が問われています。
三井住友カード
出身母体である三井住友銀行と日本郵政との癒着も。
日本共産党の大門実紀史参院議員が国会で明らかにしましたが、日本郵政のグループ企業「ゆうちょ銀行」のカード事業の委託先は、三井住友カードが発行数シェアで98・6%(発行枚数約30万枚)と独占状態です。
三井住友カードを委託先に選んだゆうちょ銀行の責任者、宇野輝常務執行役は、三井住友カードの元副社長。しかも、カードの製造は三井住友銀行が主要株主となっている凸版印刷が受注しています。
三井住友カードへの支払いは、2008年5月からの半年間で42億円にものぼっています。
割引悪用見逃す
「障害者団体向け第3種郵便」制度を悪用した「郵便不正事件」では、郵便事業会社「日本郵便」の新大阪支店支店長、新東京支店総務主任の2人が郵便法違反容疑で逮捕されています。
制度の適用要件が満たされていないことを承知のうえで、20万通、30万通といった違法ダイレクトメールの発送を許可していたのは、民営化で各支店に発送量のノルマが課せられていたからです。割引分は一般の郵便料金で補てんされているわけで、被害者は国民です。
保険金未払いも
日本共産党の山下芳生参院議員が明らかにした簡易生命保険の保険金未払いは、140万件にものぼります。
西川体制で、利権の巣となった日本郵政。国民の財産を守ることよりも、財界・大企業の利益を優先する西川氏には、日本郵政社長としての資格はありません。