2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」

政府批判 急速に拡大

経済や南北関係に危ぐ

韓国


 韓国で李明博(イ・ミョンバク)政権の国政運営を批判する動きが急速に広がっています。大学教授、文化人、宗教者、市民団体などが、“国民の声を無視した民主主義の退行”と政府批判の声明を相次いで発表。この動きは首都ソウルから全国各地へ拡散しています。


 10日は軍事政権を倒した1987年の「6月民主抗争」から22周年の記念日にあたります。民主党など野党や市民団体はソウルで大規模な記念集会を開く予定です。昨年のこの日には、米国産牛肉の輸入再開問題がきっかけとなった政府批判の運動が高揚し、全国的な「100万人大行進」が実施されました。

 大学教授の行動は3日のソウル大教授124人の声明から始まり、9日までに全国20以上の大学に広がりました。9日には小説家や詩人など作家188人に続き、仏教僧侶108人が声明を発表し、1万人の僧侶の賛同署名を集めると明らかにしました。

 李大統領の母校、高麗大学の教授131人は8日、「盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領の死に対する追慕の列に表れた民意」を理解するよう政府に要求、「韓国の民主主義は深刻な危機に直面している」と指摘しました。

 これらの声明は危機の内容として、▽昨年の反政府運動参加者に対する裁判への司法上層部の介入による司法の独立の侵害▽盧氏死去後のソウル市庁前広場の封鎖や市民の拘束による、表現の自由と集会・結社の自由の侵害▽再開発に伴う住民の強制退去などによる生存権の侵害―などを列挙。経済面では新自由主義政策で社会的弱者を量産していると批判しています。

 また、李政権発足後に北朝鮮が対話を断絶し、南北間の緊張が高まっていることを憂慮。金大中(キム・デジュン)、盧両政権下での南北合意を継承するよう求めました。

 相次ぐ声明に対しては、「盧前大統領の死をきっかけに、保守政権を委縮させる勢力を育てようとする党派的な意図」(東亜日報9日付社説)という反論もあります。

 しかし、韓国日報9日付の世論調査では、与党・ハンナラ党の支持率は27・3%、野党・民主党が29・4%で、李政権発足後初めて逆転。李大統領の支持率も30・3%に急落し、国民も政府・与党に批判的です。ハンナラ党は刷新委員会を設置し、今月末までに党改革案を策定する予定です。(面川誠)


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