2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」
農地法「改正」
放棄地 解決しない
紙議員 「採算改善こそ必要」
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日本共産党の紙智子議員は9日開かれた参院農林水産委員会で、農地法「改正」案の問題点をただしました。
同案は、地域に住んで自ら耕す人が農地の権利(所有権と利用権)を持つという農地法の原則(農地耕作者主義)を戦後初めて改変し、株式会社や外国人も含めだれでも原則自由に利用権を取得でき、企業の農業参入を強めるものです。投機的利用や担い手農家との競合、産業廃棄物捨て場になると反対の声が強くなっています。
紙氏は、農地耕作者主義があったからこそ農業と農業経営は地域に根ざした経済活動であり続け、農村社会の安定性も維持されてきたと強調し、環境や国土保全、就業の確保、伝統や文化など多面的役割を担う上でもっともふさわしい原則だと指摘しました。
「改正」案については、資金力がある大企業などが農家から高く借り優良農地を集めることができ、地域農業振興策を妨害すると批判。親会社の都合によって簡単に農業から撤退して被害をもたらすことを、東京ドーム1・5倍の広さの北海道トマトハウス農場の倒産を視察した事例も示し、「改正」理由にされる“企業などの効率的農地利用による耕作放棄地の解消”につながらないと批判しました。
石破茂農水相は、「農業参入は簡単ではないと企業も理解しているのではないか」とのべ、耕作放棄地の広がりは農業の不採算が最大の原因だと認めました。紙氏は「採算が合わないから耕作放棄地が増えるというなら、採算をよくする農業対策をするべきだ」と強調しました。