2009年6月10日(水)「しんぶん赤旗」
原爆症 全面解決早く
原告団、厚労相と面会
国が上告断念
東京訴訟
原爆症認定集団訴訟で、未認定だった9人を原爆症と認めた東京高裁判決(5月28日)について、舛添要一厚生労働相は9日、閣議後の記者会見で、上告を断念すると表明しました。同日、原告団と弁護団、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の代表13人が、舛添厚労相と国会内で面会し、原告全員の救済と認定基準の抜本的改定による訴訟の全面解決を求めました。
国の上告断念を受け、原告側は、厚労省前で開始した座り込みの場で記者会見しました。
全国原告団の山本英典団長(76)は「上告断念はうれしいが、6年間は本当に長い年月だった。早く被爆の実態に即した認定基準をつくっていたならば、これほど多くの時間と人命を費やすことはなかった。原告全員の救済までたたかわなければ、喜ぶことはできない」と力を込めました。
大臣との面会で、勝訴した中山勇栄さん(78)は「認定されずに亡くなった原告がかわいそうでならない。被爆者に謝ってほしい」、同じく西本治子さん(71)は「私たちだけ救われても心は晴れない。被爆者が生きているうちに救える認定制度を」と切々と訴えました。
最高裁で争っている千葉県の原告、高田末子さん(69)は「早く上告を取り下げてほしい」と声を震わせました。
舛添厚労相は「最終的には麻生総理の決断を仰ぎたい。18回続けて国が負けたという司法の重みを受けとめなくてはいけない」と答え、「いい方向で一日も早く解決したい」とのべました。
同日、原告側弁護団は、高裁でも原爆症と認められなかった一人について、上告する方針を明らかにしました。
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