2009年6月6日(土)「しんぶん赤旗」
カイロでの米大統領演説
イスラムとの共同に反響
アッバス議長「重要な一歩」
【ベイルート=松本眞志】オバマ米大統領が、4日のエジプトのカイロ大学での演説でイスラム世界との共同を呼びかけたことに域内外で反響が広がっています。特にイスラエル・パレスチナ問題への言及部分は注目されています。
アラブ連盟のムーサ事務局長は、オバマ氏がパレスチナ問題でユダヤ人入植地活動の停止とパレスチナ人の人権尊重を訴えたことを評価し、「演説はバランスのとれたイスラム諸国との親交の新たな展望を示すものだった」と語りました。
パレスチナ自治政府のアッバス議長も、「パレスチナに言及した部分は、新たな始まりの重要な一歩であり、これまでとは違う新たな米国の方針を示した」と述べています。
一方、イスラム武装抵抗組織ハマスのアユマン・タハ報道官は、「過激主義とのたたかいの追求、2国家共存に向けての努力の言葉は、前任者のブッシュ政権の方針と変わらない」と語りました。
イスラエル政府は「オバマ氏の重要な演説は、アラブとイスラム世界、イスラエルとの新たな和解の時代へと導くものだ」とコメントしています。
イラク政府は声明で、「演説はパレスチナ国家とパレスチナ人の生存権への明確な支持を示した」とし、「米新政権の積極的な方向性を反映した歴史的に重要なものだ」と評価。イラク情勢については、行程表に基づくイラク撤退への明言がイラク人に「安心感を与えた」と述べました。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「国連の主要な目標としている分裂克服と相互理解の促進にとって重要な一歩だ」と歓迎しました。