2009年6月5日(金)「しんぶん赤旗」

二階経産相側への西松違法献金

真相を闇に葬っていいのか

起訴相当の議決を

検察審査会に不服申し立て


 自民党の二階俊博経済産業相側への西松建設からの違法献金について、東京地検特捜部が1日に関係者を不起訴処分にしたことに対し、政治資金オンブズマン(大阪市)の阪口徳雄弁護士ら36人が4日、「起訴相当」の議決を求めて東京の検察審査会に不服申し立てをしました。


 阪口弁護士らは4月末、自民党二階派の政治団体「新しい波」の会計責任者・泉信也氏(参院議員)らが、「新政治問題研究会」と「未来産業研究会」が西松建設のダミー団体と知りながらパーティー券代や献金を受け、政治資金収支報告書にうその記載をしたとして政治資金規正法違反で告発していました。

 会見した阪口弁護士は、東京地検が民主党の小沢一郎前代表の公設秘書を逮捕・起訴しながら二階氏側を不起訴にした姿勢を批判。「『3500万円もらった人を起訴したから868万円もらった人は勘弁してやれ』と、他の国会議員にワイロを配ったことの真相を闇に葬るということ。市民感覚からして到底理解できない」と語りました。

 神戸学院大学の上脇博之教授は、「東京地検は、西松建設にパーティー券の購入をもちかけたのは二階議員の秘書だったという事実をつかんでいる。にもかかわらずなぜ厳正な捜査がされなかったのか疑問だ」とのべました。


解説

数々の疑惑に説明なし

 二階俊博経済産業相をめぐる政治資金の問題は、不起訴処分となった今回の問題だけにとどまりません。

 二階氏が代表の自民党和歌山県第3選挙区支部に対し、西松社員や家族名義で計600万円の献金が2006〜07年にかけて行われた疑惑も依然として、残ったまま。

 その手法は、多人数が少額の献金をしたように装うことで、政治資金収支報告書への記載を免れるようにするなど、制度の抜け穴を使った悪質性も指摘されています。

 また、二階氏の政治団体「関西新風会」をめぐっては、事務所のマンション選定や購入にいたるまで、西松がかかわったとされる疑惑についても二階氏から明快な説明はなされていません。

 さらに、「新しい波」を立ち上げた03年に海洋ゼネコンがつくる政治団体「さんそう会」から3千万円、また07年に1千万円の計4千万円の献金を受けていました。

 政治の透明性にかかわる政治資金規正法を踏みにじった疑い。ゼネコンなどの献金と大型公共事業の関係――。二階氏をめぐる疑惑は、徹底した解明が求められています。(矢野 昌弘)


 検察審査会制度 国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が、検察官の不起訴処分の当否を審査します。今年5月21日、改正検察審査会法が施行され、審査会の議決は法的拘束力を持つようになりました。検察審査会が行った「起訴相当」の議決に対し、検察官が不起訴処分などとした場合、検察審査会は再度審査を行い、その結果「起訴議決」が行われた場合には、裁判所が指定した弁護士が被疑者を起訴し、公判が開かれます。



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