2009年6月5日(金)「しんぶん赤旗」
三鷹高前校長が提訴
再雇用不合格「都教委の報復」
職員会議での挙手・採決を禁止した東京都教育委員会の通知を批判した都立三鷹高校の土肥信雄・前校長が、定年退職後の非常勤教員としての採用を不合格にされたのは「報復」であり不当として4日、東京都を相手に損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしました。
都教委は2006年、職員会議で校長が教職員の意思を確かめるために挙手・採決をおこなうことを禁止する通知を出しました。土肥前校長は「禁止によって教職員の間に自由な討論がなくなっている」として通知の撤回を要求。都教委に公開討論を求めてきましたが、都教委は応じませんでした。同前校長は今年3月で定年退職となるため、非常勤教員としての再雇用を希望していましたが、都教委は不合格にしました。
土肥氏は、非常勤不合格による損害のほか、校長在職中に都教委から挙手・採決を禁止されたことや「日の丸・君が代」強制の職務命令発出を強要されたことなどによる精神的損害への賠償も求めています。
卒業生から贈られた寄せ書きを前に記者会見した土肥氏は、「民主主義にとって一番大事なのは言論の自由」とのべ、裁判を通して都教委と自分のどちらが正しいのか都民、国民に判断してもらいたいと訴えました。
会見に同席した尾木直樹法政大学教授は「不合格はいじめ。裁判を全国の教師が注目していると思う」、西原博史早稲田大学教授は「校長が教育委員会の単なるロボットになるかの瀬戸際の事件だ」とのべました。