2009年6月5日(金)「しんぶん赤旗」
米大統領演説
「イスラムと戦争せず」
対イラン 過去の干渉に言及
【ベイルート=松本眞志】オバマ米大統領は4日、エジプトを訪れ、カイロ大学で2500人の聴衆を前に演説しました。イスラム世界の歴史的役割と米・イスラム間の歴史的関係について述べ、域内の「不安の源泉」としてテロ問題、イスラエル・パレスチナ問題、イランをめぐる核問題をとりあげ、その克服について語りました。
同大統領は、イスラム教徒とイスラム過激派を明確に区別し、「米国はイスラムと決して戦争しない」と言明。その一方で、アフガニスタンのイスラム過激派は世界の脅威であり、イスラム世界と協調して打破する必要があると訴えました。
オバマ氏は、核問題が現在の米国とイランの対立の要因となっていると述べながら、両国の対立の背景には、米国のイランへの内政干渉、イランが域内で反米感情をあおってきた歴史があったと指摘。対立克服のために、「(イランとは)前提条件なしに相互尊重を基礎に前向きに話し合う用意がある」と述べました。同時に核問題の克服は米国の利益となるだけでなく中東地域の核軍拡競争を防ぎ、域内と世界全体を核戦争の危険から守ることにつながると強調しました。
中東和平問題についてオバマ氏は、米・イスラエルとの友好関係やユダヤ民族の悲劇的歴史についてふれながらも、イスラエル建国の過程でパレスチナ人が追放や住居破壊などの被害を受け、60年におよぶ占領下でも同様の人権侵害に耐えてきたと主張。「両者の願いを実現する唯一の解決策は、イスラエル人とパレスチナ人が平和で安全に暮らすことのできる2国家共存であり、それはイスラエルとパレスチナ、米国と世界にとっての利益でもある」と訴えました。