
2009年6月4日(木)「しんぶん赤旗」
日本の核武装に警戒の声
北朝鮮の核実験受け地域の軍拡引き金に
米識者が指摘
【ワシントン=小林俊哉】北朝鮮の核実験を受けて、米識者の間からは、日本の核武装に対する警戒の声があがっています。イランの核開発が中東地域の核軍拡の引き金となると懸念されるのと同様に、北朝鮮の核開発が東アジアでの核軍拡を呼び起こすという議論です。
キッシンジャー元国務長官は5月31日放映の米CNNテレビで、「(北朝鮮の非核化に向け)中国が何もしないなら、韓国と日本が核兵器を持つというアジアの状況が生まれるだろう。(中国は)自らの国境を核保有国で埋めるという状況になる」と述べ、北朝鮮の核開発阻止に向けて米中の協力関係を強めるよう主張しました。
『ニューズウィーク』誌の国際版編集長で同番組のホストを務めるファリード・ザカリア氏も、北朝鮮の核開発は「北東アジアの基本的地政学を変える可能性を持つ」と指摘。日本が核武装に踏み切った場合、「中国からの強い反応を呼び起こし、域内の軍拡と緊張の開始となりうる」と述べました。
有力シンクタンクのブルッキングス研究所のマイケル・オハンロン上級研究員も、27日にワシントンで開かれた会合で、北朝鮮が核保有国となれば、日本、韓国が核武装に踏み切る可能性が高まると主張しています。
いずれも、日本が地域の不安定化要因になりうるとみられているのが特徴です。