2009年6月4日(木)「しんぶん赤旗」
二階派結成時3000万円
関係者証言「献金要請あった」
マリコン団体
二階俊博経済産業相が代表を務める政治団体「新しい波」(二階派)が、同団体を立ち上げた2003年に、海洋ゼネコン(マリコン)関係者でつくるダミー(隠れみの)政治団体から3千万円の献金を受けていたことが3日、本紙の調べでわかりました。同団体関係者は、二階氏側から献金の要請があったことを認めており、“マリコンマネー”が派閥結成の資金にあてられた疑いが浮上してきました。
献金していたのは「港栄会」で、06年に「さんそう会」に名称変更しています。
情報公開で入手した03年分の政治資金収支報告書によると、「新しい波」は、「港栄会」から8月29日に3千万円を提供されています。
当時、「港栄会」は千葉市にある会計責任者の自宅を所在地とし、代表はマリコン大手の五洋建設幹部でした。03年は、二階氏が保守新党(当時)から自民党に合流した年。二階氏は保守新党の政治団体「保守新党政治協会」を同年11月に「新しい波」へと改称し、会長に就任。「港栄会」からの資金提供後に自民党の派閥として「新しい波」の活動をはじめたことになります。
献金の経緯について、「さんそう会」関係者は「要請があったから献金した。こっちから『金が余っているから引き取ってください』と、言うはずがない」と二階氏側が持ちかけた献金だったことを認めました。
献金の原資については「マリコン業界の複数の会社が、実質的には出している」と証言。献金の動機は「港湾工事などで仕事につながればいい。1社だけの献金では大手ゼネコンに対抗できない」と語っています。
政治資金規正法では、企業や業界団体から献金を受け取ることができるのは、政党の本部と支部だけです。「新しい波」のような政治団体は受け取ることができません。
ところが「さんそう会」は、実質的にマリコン企業の資金を原資としながら、政治団体となることで、自民党の運輸族議員らの資金管理団体や政治団体に毎年多額の献金をしています。二階氏側が事実上のマリコン企業からの資金提供だと承知していたなら、政治資金規正法にふれる疑いがあります。
「新しい波」事務所は、本紙の取材に対して「政党機関紙の質問に対しては、回答しておりません」としています。
「さんそう会」 海洋ゼネコン(マリコン)の東亜建設工業(東京都千代田区)や五洋建設(同文京区)の役員・顧問が歴代の代表をつとめる総務相届け出の政治団体。06年に「港栄会」から名称を変更しました。現在の所在地は、横浜市金沢区の会計責任者宅。
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