2009年6月2日(火)「しんぶん赤旗」
コレラ感染者 10万人に迫る
死者は4300人に
ジンバブエ
国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)は5月下旬、報告書を発表し、アフリカ南部の内陸国ジンバブエでのコレラ流行は、この3カ月間、感染率は低下しているものの、依然として深刻な脅威となっていると警告しました。
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報告は、ジンバブエ赤十字社(ZRCS)と共同でまとめたもの。同国でのコレラ感染者数は、のべ9万8309人、死者数は4283人にのぼります。コレラによる死亡率は通常1%以下ですが、同国では今回4・4%に達しました。報告は、現在の傾向が続くと感染者数は2、3週間以内に、のべ10万人に達すると予測しています。
昨年12月、世界保健機関(WHO)はジンバブエでのコレラまん延の最悪のシナリオとして、感染者数が最大6万人に達するとの予想を発表していますが、2カ月後の09年2月には6万人を突破しました。
感染者のピークは2月でしたが、その後は流行の中心が首都ハラレ郊外の人口密集地域から農村部に移ったといいます。
報告は、今後の活動として、感染危険地域の66万5千世帯に清潔な水と基本的な衛生設備を持続的に利用できるようにすることなど、中長期的な事業を挙げています。
▽故障した水源施設1150カ所の補修▽263カ所の井戸掘削▽トイレ3755カ所の建設―のために、375万スイスフラン(約3億7000万円)が必要だとしています。
IFRCジンバブエ代表のオモロ氏は、「政府は水道・衛生施設再建には数年かかるとしている。われわれの努力はこのギャップを埋め、コレラまん延を抑えるためのものだ」と語っています。
ジンバブエでは、ムガベ大統領与党のジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線(ZANU―PF)と野党民主変革運動(MDC)の政争が続き、経済も崩壊。医療施設や衛生施設も機能せず、昨年始まったコレラの爆発的な流行の要因となりました。今年2月には両勢力間の妥協で連立政府が生まれましたが、経済再建など問題が山積しています。(夏目雅至)