2009年6月1日(月)「しんぶん赤旗」
保育の公的保障壊す
「新たな仕組み」考える
東京でシンポ
保育・子育てを自己責任にかえる「新たな保育の仕組み」を考えるシンポジウムが31日、東京都内で開かれました。保育や福祉関係団体、女性団体、労組などがつくる「保育制度の解体を許さず、保育の公的保障の拡充を求める大運動実行委員会」の主催。父母や保育所職員約180人が参加しました。
伊藤周平鹿児島大学教授が基調報告。「新たな保育の仕組み」の狙いが、保育が必要な子どもへの保育の実施、保育所の整備という“市区町村の公的保育保障の義務”を壊すことにあることを指摘。直接契約、応益負担が実施されている介護保険制度や障害者自立支援法と同様の問題が起きるとのべ、「保護者と保育者が協力した運動の力で、新しい仕組みの導入を断念させ、公的責任にもとづく社会福祉を再構築させよう」とよびかけました。
ジャーナリストの猪熊弘子さんは、子育て世代の多くを非正規労働者が占める現状のなか親子の生活を支える命綱となっている保育所の役割、ハッピースマイル倒産事件を通じての企業経営保育の問題点を話しました。
社会福祉法人さやまが丘保育の会の牧裕子理事長は、新しい仕組みでは保育園収入が不安定になり、専門性と継続した体験をもつ保育者集団が維持できず保育の質を保てなくなると話しました。
名古屋市職労の一員で市立保育園園長は、母子家庭や失業者などハンディがある親子へも保育を保障できる公立保育園の役割をのべました。「私たちは保育者であり、住民のくらしと命をまもる自治体労働者。現場から大きな声をあげていこう」とよびかけました。
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