2009年5月28日(木)「しんぶん赤旗」

主張

核兵器のない世界

草の根から核廃絶のうねりを


 アメリカのオバマ大統領が、核兵器を使用した国としての道義的責任にたち核兵器のない世界のために行動すると、現職の米大統領としてはじめて言明した演説から、間もなく二カ月たちます。核兵器廃絶のために努力し続ける多くの人びとが演説を歓迎し、実現に向け世界を動かすチャンスにしようと、行動を強めています。

 そのさなか、北朝鮮が核実験を強行したのは世界の世論に挑戦するものです。逆流を許さないためにも、草の根から核廃絶のうねりを強めることが重要です。

変化をいかす情熱を

 日本共産党の志位和夫委員長がオバマ大統領に書簡を送ったのも、綱領に核兵器廃絶をかかげる党として、この新しい状況を確かな前進につなげたいとの決意からです。発言を歓迎し、核兵器廃絶を主題とした交渉の開始を要請した書簡に米政府から届いた返書は、「どうすれば最良の方法で核兵器のない世界を実現できるかについての考えを伝えていただいた」「あなたの情熱をうれしく思う」という、真剣さを示すものでした。

 志位委員長は返書が日本政府の協力を期待していたことを受け、麻生太郎首相や衆参両院議長と懇談するなど活動を広げています。

 来年五月の核不拡散条約(NPT)再検討会議を一年後に控え、このほど開かれた準備委員会でも変化がみられました。非同盟運動や新アジェンダ連合の諸国が核兵器廃絶への課題を強調するなどひきつづき奮闘したのに加え、アメリカの同盟国からもオバマ大統領の提案を歓迎し、実現への決意などが表明されました。

 会議三日目には、核兵器廃絶の「明確な約束」を明記した二〇〇〇年再検討会議の最終文書もとりあげた、次回再検討会議の議題を決定しました。前回〇五年の再検討会議は議題が決まらず一週間も空転したのとは大違いです。

 準備委員会に際しておこなわれたNGOの会議では、変化をつくりだしたのもそれを生かすのも運動の力だと、確信に満ちた積極的な討論がおこなわれました。そして日本原水協の提案を受け、来年の再検討会議開会前日の五月二日を「核兵器のない世界のための国際行動デー」としニューヨークで統一行動をおこなうこと、開会直後に核兵器廃絶署名を共同提出すること、そのために各国で運動を発展させることを決めました。

 討論では、「核兵器廃絶の条約交渉開始をはっきりと求めた原水協の署名にとりくもう」と、昨年の原水爆禁止世界大会から開始された「核兵器のない世界を」署名への賛同の声があがりました。この署名は「核保有国をはじめすべての国の政府がすみやかに核兵器禁止・廃絶条約の交渉を開始し、締結することに合意する」ことを求め核兵器のない世界への道筋、中心課題を明快に示したものです。

圧倒的世論を日本で

 この中心課題に正面から向き合おうとしないのが被爆国日本の政府です。北朝鮮の核開発を口実に「核の傘」論に固執しては核兵器廃絶はもちろん北朝鮮問題でもリーダーシップを発揮できません。

 日本の平和勢力の奮闘がますます重要です。日本共産党はその一翼として署名を全国にひろげ、原水爆禁止世界大会の成功など、国民的な世論と運動を築くため、あらゆる努力をつくします。



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