2009年5月24日(日)「しんぶん赤旗」
ドイツ政府
操業短縮手当を再延長
18カ月を24カ月に 雇用維持へ
ドイツ政府は二十日、経済危機の中、雇用維持のために活用している操業短縮手当の支給期間をさらに延長することを決定しました。(片岡正明)
操業短縮手当は、事業主が一定の規模で操業短縮を行う際に、短縮に伴う賃金の目減り分を独連邦雇用庁が一部を補償するもの。補償額は子どもが一人以上いる場合、最大で賃金の67%、それ以外の労働者は60%を支給します。
ドイツの自動車大手ではこの手当により約九割の賃金が保障されるとしています。
今回の措置は、支給期間を現在の十八カ月から二十四カ月に延長するもの。また、企業側にも魅力的にしようと、企業側の社会保険料負担を減らします。操業短縮手当を支給する労働者が働く企業では、操業短縮手当支給七カ月目からは全額、政府が支払うとしています。
独政府は昨年末からにすでに支給期間を十二カ月から十八カ月に延長し、労働者が払う社会保険料については半額を政府が負担する政策を実施。また、派遣労働者も申請できるようにしました。しかし、経済不況が当初予想より長引く見込みとなり、支給期間の延長をしました。
操業短縮手当はすでに二百万人が申請し、ドイツの雇用安定を下支えしています。連邦統計局によると、今年の第一・四半期の就業者数は昨年同期より0・1%上回る三千九百九十万人となっています。
ショルツ労働社会相は「われわれは、解雇を避けることで、経済危機後に必ず必要となる専門家の労働者を企業にとどめることができる」と強調しました。
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