2009年5月19日(火)「しんぶん赤旗」
イラク従軍拒否のワタダ中尉
米陸軍、訴追の一部撤回
現役米軍将校として二〇〇六年六月に初めてイラク従軍拒否を表明し、軍法会議に訴追されたエーレン・ワタダ陸軍中尉について、米陸軍はこのほど、五つの罪状のうち、任務不履行など主要な三つについて争わないことを決めました。裁判はまだ続くものの、ワタダ氏の弁護人は「大きな勝利」と歓迎しています。
ワタダ氏はハワイ州出身。イラク派遣を拒否し、そのことを記者会見や反戦組織の集会で表明したことなどを理由に訴追されました。
同氏に対する軍法会議は〇七年二月に行われましたが、判事は審理無効を宣言。ところが陸軍が再訴追したため、ワタダ氏側は憲法で保障された「一事不再理」(判決が確定した事件には公訴の提起を許さない)の原則に反すると主張しました。
連邦地裁は同年十月、同氏の言い分を認めて、軍法会議の差し止めを命令。それに対し、陸軍の代理として米司法省が不服を申し立てていました。
その後、イラク戦争反対を掲げるオバマ政権に代わったことで、司法省の対応が注目されていましたが、七日付のハワイ地元紙ホノルル・アドバタイザー(電子版)によると、司法省はこの申し立てを撤回することを裁判所に伝えました。
陸軍は引き続き、ワタダ氏を軍法会議にかけることを検討していますが、同氏の弁護人ジェームズ・ロレンズ氏は、ワタダ氏が本人の希望通り「まもなく兵役を解かれるのではないか」との見通しを示しています。
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