2009年5月17日(日)「しんぶん赤旗」
生活保護
母子加算復活 今こそ
各紙が主張 国会審議でも
四月に全廃された生活保護の母子加算の復活を求める声が国会審議やマスメディアで広がっています。
生活保護を受ける一人親世帯に加算されていた母子加算(東京二十三区で月額二万三千二百六十円)の廃止は、小泉「構造改革」に基づく社会保障費削減路線のなかで二〇〇四年に決められ、〇五年度から段階的に減らされ〇九年度からゼロになりました。全国各地で廃止の取り消しを求める裁判が起きるなど、国民的な怒りが強まっています。
日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は四月一日の厚生労働委員会で、全国の十万五百世帯が影響を受けた深刻な実態を示し、「頑張っている母子世帯を打ちのめすものだ」と廃止撤回を求めてきました。
ところが政府は、十四兆円にのぼる二〇〇九年度補正予算案(十三日に衆院通過)に、ほぼ一年限りの「子育て・教育支援」(三千六百五十二億円)を盛り込みましたが、二百億円でできる生活保護の母子加算の復活は行いませんでした。
日本共産党の笠井亮議員が八日の衆院予算委員会で、一兆二千億円にのぼる不要不急の高速道路建設予算を批判し、これだけあれば母子加算は「六十四年分も復活できる」「優先順位が違う」と追及すると、他の野党からも「そうだ」の声が飛びました。同委員会では、「生活保護の母子加算の復活が緊要な予算の組み方ではないか」などと質問する民主党議員も出ました。
マスメディアも社説などで「(母子加算の)セーフティーネット(安全網)は崩さず、むしろ手厚くする必要がある」(「北日本」四月二十三日付)と主張。「問われるべきはむしろ母子家庭全体に対する支援策の貧弱さだ」(「愛媛」同二十日付)、「母子加算も廃止されるなど支援は薄くなっている。就労支援策は、『就労に結び付かない』と現場から不満が上がっている」(「東京」十一日付)と指摘しました。
しかし、政府・与党は、廃止の正当化に躍起になっています。
公明党の古屋範子衆院議員は、「母子加算見直しの意義の説明を」(十一日の予算委)と質問。舛添要一厚労相は、「母子加算を廃止しても、平均的な生活ができると判断して廃止した」と強調する一幕もありました。
日本共産党以外の政党が税金を山分けする政党助成金(三百二十億円)を廃止すれば、母子加算を復活してもおつりがきます。無駄な公共事業に莫大(ばくだい)な税金をつぎ込むのでなく、母子加算を今こそ復活させるべきです。 (鎌塚由美)