2009年5月16日(土)「しんぶん赤旗」
雇用守れ カジノ資本主義ノー
国民優先の政策要求
欧州行動デー始まる
5万人が参加
スペイン
【ロンドン=小玉純一】経済危機のなかで国民優先の欧州新社会政策を求める欧州行動デーが十四日、マドリードで始まり五万人以上が集会に参加しデモ行進しました。欧州労連(ETUC)が呼びかけた三日間の行動デーは、十五日にブリュッセル、十六日にプラハ、ベルリンなどで予定されています。
スペインの労組指導者イグナシオ・フェルナンデス・トソ氏はマドリードの集会で「国民には社会的保護制度が今日、必要だ。明日ではない。雇用も今日必要だ。明日ではない」と訴えました。
スペインは失業が急増した国の一つ。デモでは黒い喪服を着てひつぎの模型を運び、失業者に「追悼」の意を示す姿もありました。
欧州労連は新社会政策として、雇用と公共サービスを守る景気刺激策、カジノ資本主義に逆戻りさせない金融規制などを各国政府に求めています。
最低賃金引き上げへ
労組批判「増額幅わずか」
英国政府
【ロンドン=小玉純一】英国政府は十二日、全国最低賃金(時給)を十月から引き上げることを発表しました。二十二歳以上の最低時給は七ペンス(約十円)アップで五・八〇ポンド(約八百三十五円)となります。政府は約百万人に恩恵が及ぶとしています。
十六―十七歳は四ペンスアップの三・五七ポンド、十八歳―二十一歳は六ペンスアップの四・八三ポンドです。労働組合会議(TUC)のバーバー書記長は「産業界からの最低賃金凍結の圧力に抵抗したのは正しいが、増額幅は非常にわずかだ」と批判しました。
経済団体の英産業連盟(CBI)はBBC放送に対し「不況下で賃上げは失業を生む」「節度ある引き上げとなった」と評価。「最低賃金はこの十年間、平均賃金やインフレ率より速く引き上げられてきた」と指摘しました。
最低賃金制度は一九九九年に導入され二十二歳以上が三・六〇ポンドでした。以降、定期的に見直されています。
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