2009年5月16日(土)「しんぶん赤旗」

主張

マリコン献金

経産相は新たな疑惑に答えよ


 二階俊博経済産業相ら自民党の複数の議員が、「マリコン」と呼ばれる海洋土木関連のゼネコンから、政治団体を偽装した違法な献金を受け取っていた疑惑が、本紙の調査で明らかになりました。(九日付、十一日付で報道)

 献金の仕組みは、準大手ゼネコン「西松建設」から違法な献金を受け取り政治資金収支報告書でうその届け出をした疑いで公設第一秘書が逮捕・起訴され、民主党代表を辞任した小沢一郎氏らと同じです。「西松」からの違法献金は、二階氏も受け取っていました。二階氏らは、新たな疑惑についても国民に説明すべきです。

法の規制をのがれようと

 本紙の調査で明らかになったのは、マリコン関係者が「さんそう会」(旧港栄会)という政治団体をつくり、二階氏や運輸族といわれる自民党議員らに献金していたことです。二階氏には、同氏が会長の政治団体「新しい波」に対して二〇〇七年だけで一千万円が献金されていました。また「新しい波」事務総長で運輸省(現国土交通省)OBの泉信也参院議員には、泉氏が支部長の自民党支部と資金管理団体に〇五年からの三年間で三千万円が献金されています。

 「さんそう会」の献金は、運輸省OBで運輸族として知られる渡辺具能衆院議員や自民党の政治資金団体「国民政治協会」に対してもおこなわれています。〇七年まで三年間の献金の総額は、一億円にのぼります。

 政治資金規正法は、政治家個人への企業献金を禁止しています。営利が目的の企業の献金がその見返りを求めるのは当然で、政治家がそれに応えれば贈収賄の罪にも問われることになるからです。企業が実態のない政治団体をつくり、それをダミー(隠れみの)に政治家個人に献金するのは、明らかに政治資金規正法の規制をのがれるためです。政治家が代表を務める自民党支部に献金するのも、規制の抜け穴を狙ったものです。

 マリコン業界には、ゼネコンの中でも埋め立てや浚渫(しゅんせつ)、海底トンネルなど、海洋土木や港湾建設にかかわる三十社近い企業があります。本紙の取材に「さんそう会」の元代表だった人物は、「二十社か三十社かの集団が政治家を支援するための資金を集める団体」とのべ、「企業や個人にそれなりのものを払っていただいている」と、企業の資金提供を認めています。

 政治資金規正法に違反した、違法・脱法献金の疑いは濃厚です。政治資金規正法は、名義を偽った献金をやりとりすることも禁止しています。違法献金を受け取ったことが疑われる政治家はもちろん、資金を出した企業も、疑惑をあいまいにすることは許されません。

二階氏の責任は免れない

 政治資金規正法は、政治資金の公開を義務付け、主権者・国民の不断の監視下に置くことが目的です。違法・脱法献金を受け取ったうえ、政治資金収支報告でうそを届け出れば、制度の根幹を破壊していると、重罪に問われます。

 二階氏は「西松」の違法献金疑惑でも巨額の献金を受け取りながら、これまでのところ検察の捜査を免れ、自ら解明の努力も尽くしていません。運輸族の代表格でもある現職閣僚で、マリコン献金疑惑でも疑惑の中心です。他の誰よりも二階氏が、疑惑に答える責任を免れないのは明らかです。



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