2009年5月16日(土)「しんぶん赤旗」
米兵不起訴8割超
裁判権放棄の「密約」裏づけ
日本平和委が資料入手 2001―08年
二〇〇一―〇八年に公務外で犯罪を起こした在日米軍人ら三千八百二十九人のうち、約83%にあたる三千百八十四人が不起訴になっていたことが、法務省の資料で分かりました。日本平和委員会が同省から情報公開請求で入手し、十五日に国会内で開いた集会で発表しました。
日本政府は一九五三年十月、米兵や軍属・家族の犯罪のうち、日本側に第一次裁判権がある場合でも、「著しく重要な事件」を除いて裁判権を放棄するとの「密約」を米国と交わしました。今回の法務省資料は、この「密約」が今も日本の司法当局をしばり、米兵らの犯罪を野放しにしていることを浮き彫りにしました。
法務省資料を元にした同委員会の集計によると、殺人や強盗など逃れようのない凶悪犯罪については起訴率が七割台となっていますが、公務執行妨害、詐欺、横領はすべてが不起訴になっています。
また、同時期の日本国内での強制わいせつ・強姦(ごうかん)(致死傷を含む)の起訴率は約59%ですが、米軍関係者の場合、強制わいせつ約11%、強姦約26%にとどまっています。
このほか、窃盗が約7%、住居侵入約18%という低水準です。
日本政府は「日本人と米軍人の事件とで起訴の判断に差はない」としていますが、法務省検察統計(〇一―〇八年)によると、米軍関係者で起訴ゼロとなっている公務執行妨害が日本の場合約65%、同じくゼロの詐欺で約76%、強制わいせつでは約58%と大きな開きがあります。
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