2009年5月15日(金)「しんぶん赤旗」
自民領袖と比べる感覚
十六日の民主党代表選。マスコミは「鳩山由紀夫幹事長と岡田克也副代表との一騎打ち」との報道に躍起ですが、早くも、選挙の意味を根本から問わざるを得ない事態となっています。小沢一郎代表辞任の最大の要因であり、その総括が新スタートの大前提である西松建設違法献金事件をめぐる態度です。
鳩山幹事長が事件発覚からこれまで、説明責任を果たさない小沢氏を一貫してかばってきたことは衆目の一致するところです。十三日の記者会見でも、「小沢氏のおかげで民主党がここまできたのは紛れもない事実」と、「親小沢」の姿勢を鮮明にしました。一方、注目されたのが、小沢氏と距離を置いてきたとされる岡田氏の「見識」でした。しかし――
同日放映のテレビ朝日「報道ステーション」に生出演した岡田氏は、代表選について、「非小沢、親小沢という色分けにはしたくない」と述べた上で、西松献金事件に関連して、「小沢さんが集めたお金は、自民党の派閥トップクラスと比べればはるかに少ない」などと、こちらも擁護する発言を繰り返したのです。
小沢氏は西松だけに限っても、十数年にわたって約三億円の献金を受け取っていました。これを自民党と比べれば少ないという感覚も感覚ですが、仮に小沢氏にたいする献金が相対的に「小額」だったとしても、それで民主党の責任が軽くなると思っているとすればそれこそ致命的です。
政権交代を口にするのであれば、民主党には、献金額の多少に関係なく、自民党の金権体質に自らの党も染まっていることへの真剣な反省と、決別の決意が必要なはずです。鳩山、岡田の両氏がこの根本問題をあいまいにしたまま「政権交代」したとして、どうやって肝心の政治の中身を変えようというのでしょうか。
番組で、企業・団体献金廃止を、「三年後くらいには…」と語った岡田氏。その言葉はうつろにひびくだけでした。(泉)