
2009年5月15日(金)「しんぶん赤旗」
外環道事業化決めた国幹会議メンバー
推進団体役員3議員も
お手盛りで税金ムダづかい
東京外かく環状自動車道(外環道)など、四つの高速道路の事業化を決めた、国会議員と「学識経験者」各十人で構成する国土交通省の国土開発幹線自動車道路建設会議(国幹会議)のメンバーに、高速道路建設推進団体の常任世話人を務める国会議員が三人もいることが本紙の調べでわかりました。「学識経験者」にも財界・自動車業界代表が含まれており、「お手盛り」で税金無駄遣いの高速道路建設を推進する実態が浮かびあがります。
国幹会議は四月二十七日、外環道など四区間計七十一キロの基本計画から整備計画への格上げを決めました。(表参照)
金子一義国交相の判断で着工されることになります。また、東海北陸道の白鳥―飛騨清見(四十一キロ)など六区間計百九十キロについて、暫定二車線となっているのを四車線に拡幅する整備計画の変更も決めました。
これらは、政府の追加「経済対策」に含まれており、総事業費は、一兆八千七百億円にものぼります。
国幹会議のメンバーのうち、国会議員十人(衆院六人、参院四人)は、自民党の細田博之幹事長、民主党の輿石東代表代行など。「学識経験者」には、御手洗冨士夫・日本経団連会長、張富士夫・前日本自動車工業会会長、桜井正光・経済同友会代表幹事など財界代表がズラリ。
十人の国会議員のうち、保利耕輔、山本有二両衆院議員、山崎正昭参院議員の三人(いずれも自民)が、全国の高速道路促進団体で構成し、全国一万四千キロの高速道路ネットワークづくりをめざしている「全国高速道路建設協議会」(会長=石川嘉延静岡県知事)の「常任世話人国会議員」です。
四月二十七日、東京都内のホテルで開かれた国幹会議。開催の三日前に会議の連絡がきて、データは当日になって配布されるなど、審議が形骸(けいがい)化しているとの指摘もありました。しかし、「了解するしかない」(自民党・泉信也参院議員)などと、一時間半たらずの“審議”で原案どおり承認してしまいました。
国幹会議の議事要旨によると、保利、山本、山崎の三氏とも出席しています。
同会議に提出された資料によると、事業費のうち、料金でまかなえるのは、外環道、名古屋2環がそれぞれ一―三割程度、東関東道水戸線二―四割程度、日沿道一割未満といったもので、国と自治体が建設費負担という税金投入になります。
外環道の問題では、日本共産党の笠井亮議員が八日の衆院予算委員会で追及したように天下り官僚とゼネコンの自作自演ぶりが明らかになっています。税金を食い物にする政財官の癒着の構造にメスを入れる必要があります。
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全国高速道路建設協議会 東北、中央、北陸、中国、九州縦貫自動車道の五促進団体が一つにまとまり、一九六五年に発足。現在は、北海道から九州・沖縄までの四十五促進団体が加盟。「顧問国会議員」には、森喜朗元首相や古賀誠元幹事長、公明党の北側一雄幹事長(元国交相)、民主党の羽田孜元首相、国民新党の亀井静香代表代行らが名前を連ねています。高速道路ごとに「常任世話人国会議員」がおり、金子国交相、民主党の小沢一郎代表もその一人です。