2009年5月13日(水)「しんぶん赤旗」
富裕層増税に6割支持
主要メディアで議論も
イギリス
【ロンドン=小玉純一】英労働党政権が不況下での歳入減対策の一つとして、高額所得者への増税方針を示したことをめぐり、主要メディアで議論を呼んでいます。世論調査では六割がこの方針を支持しています。
労働党政権は四月下旬、来年四月から年収十五万ポンド(約二千二百万円)以上の高額所得者の所得税率を40%から50%に引き上げる計画を発表しました。
これに対して、メディアは「高額所得者をロンドンから追い出したいのか」「新たな頭脳流出を生みだす」といった金融街の憤慨を大きく報じる一方、「バブルでいい思いをした人たちが景気回復のために負担すべきだというのは正しい」という労働組合幹部の声も伝えています。
英紙の世論調査をみると、タイムズ紙では政府方針に57%が支持、22%が反対を表明。テレグラフ紙では支持が68%にのぼりました。政権党・労働党の支持率が低迷し、野党・保守党の支持率を下回っているなかでも、富裕層への増税方針は世論の賛意を得ています。
英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)は主要七カ国(G7)について富裕層の公的負担比較を紹介しています。年収十五万ポンドの人の場合、税と社会保険料を差し引いた所得の割合は、日本が62・6%でトップ。以下、英国(61・4%)、ドイツ(60・6%)、米国(59・8%)、フランス(58・4%)、カナダ(57・8%)、イタリア(49・6%)となっています。英国は新方針が実施されれば、56・0%となります。
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